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On the Production
by 井口健二
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■監禁探偵、タニタ…食堂、17歳のエンディングN、私は王である、ライジングD、燃える仏像人間、きっとうまくいく、ソラから来た転校生
としては、正に身につまされる思いがした。日本の現状は不
知だが、韓国やインドではこれが今の現実なのだろう。
そんな、僕にとっては懐かしく青春時代を思い出させてくれ
る作品になっていた。
出演は、2001年にアメリカアカデミー賞外国語映画部門にノ
ミネートされた『ラガーン』などのアーミル・カーン、『闇
の帝王』の前作『DON 過去を消された男』などに出ているカ
リーナ・カプール。監督はインド映画でハートウォーミング
な作品が人気を得ているというラージクマール・ヒラニ。
なお本作は、No.1に輝くインドだけでなく台湾、韓国、中国
でも公開されて好評を得ており、日本では2010年の「したま
ちコメディ映画祭in台東」でも上映されたそうだ。
因に、映画の中に出てくる宇宙ペンと鉛筆のエピソードは、
工学部出身の僕としては事前に知っている事柄だったが、そ
の事実関係がちゃんと説明されているのも嬉しかった。
『ソラから来た転校生』『ネコヤドのハルとアキ』
ともさかりえや蒼井優、金子ノブアキらが所属する芸能プロ
ダクション・イトーカンパニー製作による中編作品と、同作
を監督した近藤勇一が同じ主演者で先に制作した短編作品が
併映で公開される。
中編作品の『ソラから来た転校生』は天使もの。天界に暮ら
す天使が、地上で行方不明になった仲間を探しに来るが、そ
こで天使は、天界では禁断の友情と恋愛の感情を知ってしま
う。果たして天使は仲間を探し出せるか、そして感情を知っ
てしまった天使の運命は…
物語は少女趣味丸出しのものだが、それなりに筋は通ってい
たし、結末には意外性もあって上手く纏められている感じが
した。
出演は、イトーカンパニー・グループのリセに所属する星名
利華と溝口恵。また『テニスの王子様』系の桑野晃輔と西島
顕人。さらに昨年12月紹介『さよならドビュッシー』に出て
いた相楽樹、元アナウンサーの山村美智(旧名:美智子)ら
が脇を固めている。
短編作品の『ネコヤドのハルとアキ』は、同じく星名利華と
溝口恵が、同じ男子を好きと言ったために気まずくなってし
まった2人の少女を演じる。そしてその1人の引越しが決ま
り、2人の仲を小さな人形が取り持つ過程が描かれる。
作品は、栃木県鹿沼市の観光PR用に製作されたもので、少
女たちの行動を通して鹿沼の名勝なども紹介されるという構
成。それがそつなく描かれる上に、小さな人形の活躍が見事
なVFXで描かれていてそれにも感心した。
因に両作を監督した近藤勇一は、GIRAFFILMという個人屋号
でも活動しており、そこでは映像制作の他、CGやVFXも
制作。また映画学校でその方面の講演も行っている。確かに
今回の映像を観ると相当の実力者のようだ。
さらに監督は、『好夏』(スイカと読ませるらしい)という
短編シリーズも発表して、その作品はゆうばり国際ファンタ
スティック映画祭で上映されている。作品は7作あるようだ
が、最近のものにはVFXも使われているようで、その作品
も観たくなった。
海外では、2011年6月紹介『モンスターズ』などのように、
ほとんど個人で見事なVFX映画を作り上げる人も出ている
が、日本のレヴェルがどの辺にあるのか。それを知るために
も注目しておきたい作品だ。
03月30日(土)
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