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On the Production
by 井口健二
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■桃まつり−なみだ−、スカイラブ、グッバイ・ファーストラブ、ベルヴィル・トーキョー、モンスター、闇の帝王DON、命ある限り、YES/NO
チョプラ。実は監督は本作を最後に引退を発表していたが、
本作の公開日の直前にデング熱が原因の多機能不全で急死。
本当の遺作になってしまった。
このため本作の冒頭には、監督本人が引退表明の席で発表し
た自作の詩が引用され、また映画の最後にも追悼的な映像が
収められている。その元気な様子には、病魔の恐ろしさも感
じさせた。
ただし映画自体は、感動的なシーンは次々にあるが、それほ
ど湿っぽいものではなく、正しくエンターテインメントとい
う感じの作品に仕上げられている。

『YES/NO イエス・ノー』“True Love”
2010年9月紹介『リミット』や、昨年4月紹介『フライペー
パー!』などのピーター・サフラン製作によるサスペンス作
品。
『リミット』は箱の中、『フライペーパー!』は閉店後の銀
行に閉じ込められた人々を描いていたが、この製作者はよほ
どこのような限定条件が好きなようで、今回は何の装飾もな
いコンクリートの壁に囲まれた部屋が舞台になっている。
その壁には一定の間隔で穴が設けられており、その穴からは
映像が投影されたり、ガスが噴出したり、様々な仕掛けが隠
されている。さらにその壁の一箇所には、YES/NOのボタンと
小さなディスプレイが設けられている。
そしてそのディスプレイに表示された質問に二択で答えるこ
とで、その後の閉じ込められた人間の運命が定まっていくよ
うだ。そんな部屋に1人ずつ閉じ込められた男女の行動が描
かれる。
出演は、いずれもテレビ俳優のジョン・ブラザートンとエレ
ン・ホフマン。他に、2011年5月紹介『パーフェクト・ホス
ト/悪夢の晩餐会』に出ていたというタイリーズ・アレン、
『デスパレートな妻たち』などのジェイ・ハリントンらが脇
を固めている。
監督は、イタリアで助監督出身のエンリコ・クレリオ・ナジ
ーノのデビュー作。因に本作のストーリーボードも自ら描い
ており、また2009年3月紹介『ザ・バンク』でミラノのロケ
シーンの第2助監督を務めていたそうだ。
脚本は、本作のプロデューサーも務めるファビオ・ガリオー
ネとファビオ・レジナーロのコンビ。2人は過去には数本の
短編映画を制作しており、本作が長編デビュー作のようだ。
映画は後半で突然重力方向がおかしくなったシーンが描かれ
ており、これは一体何なのだ…という展開になるが、主人公
たちの幻覚という意味なのか、全体の物語にはあまり反映さ
れていなかった。
それと結末は、最近のこの手の作品を見慣れている目には、
逆の意味で意外性があったが、その辺はイタリア映画という
ところなのかな。最近の殺伐としたアメリカのインディーズ
作品とは一味違っていた。
なおエンドクレジットの中でcannonの文字が大きく出たが、
ディジタル撮影はキャノンのカメラで行われたようだ。

03月10日(日)
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