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On the Production
by 井口健二
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■サバイビング・P、カレ・ブラン、探偵ヨンゴン、ノー・ワン・リヴズ、ジャーニー、タイガー、アニメミライ2013、オズはじまりの戦い
作品。幼い頃に見た魔女に憧れて名門魔法学校に入学した少
女の話。しかし憧れた魔女は異端者だった…? この作品も
シリーズの開幕編かな。上記の作品よりさらにその感が強い
作品だった。
『デス・ビリヤード』
2009年7月紹介『サマー・ウォーズ』などのマッドハウスの
制作で、謎めいたプールバーに迷い込んだ男と老人が、運命
を賭けたビリヤードを戦う。これは本作だけで独立している
作品。いろいろなビリヤードのテクニックを含むいろいろな
アイデアも楽しめた。
4作品のお話はそれぞれ捻りもあって面白かったが、特に実
験的な手法が駆使されているという訳ではなく、これが日本
のアニメ文化という感じの作品だった。でもまあ目的がクリ
エーターの育成ではなく、アニメーターの育成なのだからこ
れはこれで良いのだろう。
挨拶の中で、制作を終えたアニメーターが成長していたとい
う発言があって、自分の好きなJリーグで言うと、年代別の
代表に選出されたという感じなのかな。そこでの経験などが
活かされて、日本のアニメ界全体が成長して行くということ
で納得した。
来年もできたら観たいものだ。

『オズ はじまりの戦い』“OZ The Great and Powerful”
アカデミー賞受賞の主題歌「虹の彼方に」でも有名な1939年
の名作『オズの魔法使』(映画の邦題は送り仮名がないそう
だ)の前日譚。その映画化をディズニーと、2002年5月紹介
『スパイダーマン』などのサム・ライミ監督が実現した。
物語は、カンザス州の巡業サーカス団にいた奇術師の男が、
ふとしたことでオズの国に到着。そこで伝説のオズの魔法使
いと間違われた男は、魔女たちの争いに巻き込まれるが…と
いもの。実はこのお話は、ライマン・フランク・ボームが著
したオリジナルのシリーズ14冊の中にはないものだ。
しかし今回の物語は、シリーズのあちこちに語られるオズの
魔法使いのエピソードから構築されており、その全てのお話
は原作のオズ・シリーズに融合するものになっている。その
展開は見事だった。因に映画の原作表記は、1939年版と同じ
“The Wonderful Wizard of Oz”だったようだ。
原案と脚本は、2000年ジェット・リーが主演した『ロミオ・
マスト・ダイ』の原作者ミッチェル・カップナーと、2011年
8月紹介『ラビット・ホール』でトニー賞とピュリツァー賞
を受賞した劇作家のデヴィッド・リンゼイ=アベアー。脚本
はボームの原作を周到に研究した成果と言える。
出演は、ライミ版『スパイダーマン』でハリー・オズボーン
役のジェームズ・フランコ、昨年11月紹介『テッド』などの
ミラ・クニス、昨年8月紹介『ボーン・レガシー』などのレ
イチェル・ワイズ、昨年1月紹介『マリリン・7日間の恋』
などのミシェル・ウィリアムス。
映画の始まりがモノクロ・スタンダード(ただし3D)の画
面なのは、1939年版へのオマージュとすぐに判るが、その前
のタイトルの出し方は何となく無声映画を思い出させる。そ
の辺は1910年にボーム自身が映画化した作品への思いも伺わ
せた。本作はそれほどの歴史に支えられた作品だ。
しかし日本では、原作の知名度も1939年の映画以外は高いと
思えないし、劇団四季『ウィキッド』は評価されているよう
だが、その評価が本作に繋げられるかどうか。映画は全世界
一斉公開で宣伝の時間が短いのが多少気掛かりだ。

02月28日(木)
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