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On the Production
by 井口健二
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■ムーンライズK、ダイナソーP、世界にひとつの…、マキシマムB、ジョニー・トー、シャドー・ダンサー、ゴースト・フライト、ザ・マスター
オリジナルは3Dとのことで、画面にはかなりそれを意識し
たような演出も見られた感じだ。ただしそれがどれだけ効果
があったかは、残念ながら2Dでの鑑賞なので判断はできな
い。ただまあハリウッド映画ではないので、それなりに過激
なものにはなっていそうだ。
因に映像はかなりスプラッターにもなっており、それも3D
という感じの作品だ。
出演は、1986年に映画デビューして、当時は歌手デビューも
果たすなどアイドル的人気があったというマーシャ・ワタナ
パーニット。その後、1991年から16年間女優を休業し、先ご
ろ復帰したとのことで、本作ではそのアテンダント姿でも話
題になったそうだ。
他にはモデル出身のピーター・ナイト、ベテランのパラメー
ト・ノーイアム、トランスジェンダー歌手のベル・ナンティ
ターなど、多彩なキャストが組まれている。
監督は、本作の前には黒魔術を扱ったシリーズ作品を7人組
監督ユニットで制作して話題になったというイサラー・ナー
ディー。脚本もそのユニットの1人のコンギアット・コムシ
リが担当した。

『ザ・マスター』“The Master”
2008年3月紹介『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール
・トーマス・アンダースン監督が、1950年代のアメリカを背
景に描いた作品。
物語の開幕は、太平洋戦争末期の南の島。水兵のフレディは
日本の敗戦でアメリカ本土に帰還するが、復員軍人病院での
ロールシャッハテストにも異常な反応で、平時の環境にはな
かなか順応できないようだ。そして戦時中に自前で開発した
強烈なカクテルに酔いしれる日々が続いていた。
それでも地元のデパートの写真室でカメラマンの仕事を得る
が、暗室には酒を常備し、ついには客に暴力をふるって仕事
を首になってしまう。そんなフレディは酔いどれながらの放
浪を続け、とある港で婚礼パーティの準備をしていた船に潜
り込む。
そして船員に発見され、主催者のドッドの前に引き出される
が、ドッドはフレディを咎めるどころか歓迎し、フレディも
その意外な展開にドッドを信じることになる。そして下船し
た後も2人は常に行動を共にし、ある時はドッドを批判する
人物に報復を加えるようにもなって行くが…
そのドッドが率いているのは、「ザ・コーズ」と名告る謎の
団体だった。
脚本も執筆した監督自身が、「ザ・コーズ」の「サイエント
ロジー」との類似性を否定していないようで、ドッドの言動
などにも、そこから参考にした部分もあるようだ。ただし、
物語は宗教に関するものではなく、第2次世界大戦後という
環境の許での2人の男の生き様が描かれている。
出演は、ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・
ホフマン、エイミー・アダムス。他にローラ・ダーン、元子
役のアンピル・チルダース、今年4月紹介『バトルシップ』
などのジェシー・プレモス。監督の前作にも出演のケヴィン
・J・オコナーらが脇を固めている。
「サイエントロジー」に関しては、元々がSF作家だったL
・ロン・ハバードが創始したもので、SFファンには馴染み
深いが、本作の中でもほぼカルトという感じの扱いで、まあ
そんなものだ。
なお、本作の撮影に当ってはPanavision 65 HRカメラが使用
されたのだそうで、アメリカでは一部の劇場で70mm公開も行
われとの報道もある。ただし試写で観るとサイズはヴィスタ
で、アメリカのデータベースでもアスペクト比は1.85:1と記
載されていた。日本もそれに倣うことになるのだろう。

12月30日(日)
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