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On the Production
by 井口健二
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■サイド・バイ・S、ひまわりと子犬の…、悪人に平穏なし、次郎は鮨の…、さなぎ、エンド・オブ・ザ・W、ジャッジ・D、いのちがいちばん…
ところがその任務は、75000人の住民の暮らす200階建ての超
高層アパートの捜索。しかもそのビルはママと呼ばれるボス
によって完全に支配されていた。そんな中でママの右腕の男
を逮捕したドレッドらは男を連行しようするが、突然ビルの
出入り口が閉鎖され、閉じ込められた2人は大半の住民を敵
として血路を開かなければならなくなる。
出演は、95年作と同様に顔はほとんど見えない主人公を、昨
年7月紹介『プリースト』などのカール・アーバン。共演は
今年10月紹介『ダーケストアワー・消滅』などのオリヴィア
・サールビー。そして2008年10月紹介『サラ・コナー/クロ
ニクルズ』などのレナ・ヘディらが脇を固めている。
脚本は2003年6月紹介『28日後...』などのアレックス・ガ
ーランド、監督は2008年2月紹介『バンテージ・ポイント』
などのピート・トラヴィスが担当した。
お話は、今年8月紹介『ザ・レイド』も似た感じだったが、
圧倒的な敵と戦うシチュエーションは正しく同様のものだ。
そして敵側の状況にも似通ったところがあって、その辺はま
あ仕方ないかなあというところ。ただし本作ではさらにそれ
を上回るVFXなどの仕掛けも満載で、その点では楽しめる
作品になっている。
『いのちがいちばん輝く日』
副題に「あるホスピス病棟の40日」と付けられた終末医療の
現場を写したドキュメンタリー作品。
今年は僕自身の周囲にも多少いろいろなことがあって、個人
的には観るのが少し辛い作品ではあった。しかし人間の死と
いうのは避けられないものではあるし、全ての人間がいつか
この状況に至ることを考えると、自分自身や周囲の者のため
にも、このような事を見据えて準備しておくことも大事だと
思える作品だった。
作品が撮影されたのは、滋賀県近江八幡市でメンソレータム
の近江兄弟社が運営するヴォーリズ記念病院。1918年に結核
診療所として開設され、2000年に現体制となった総合病院の
一角に、2006年終末医療を行う「希望館」が開設された。作
品は、その「希望館」に2011年12月から40日間カメラを持ち
込んで制作されている。
ただし本作の制作には病院側や入院患者の理解はもちろん、
撮影スタッフたちにも相当の知識や体験が要求され、そのた
め本作の撮影に当っては撮影スタッフから2名がケア記録係
という資格でグループケアに参加するなどの処置が採られて
いるそうだ。
さらに撮影開始の2週間前からホスピス病棟に出入りし、そ
こでは職員と同じ名札をつけて、朝礼や午後は看護スタッフ
のミーティングへの参加。さらに診療への立会いなどの業務
をこなし、こうした準備を経ての撮影となっている。
そしてその中で、12月半ばには撮影の趣旨に賛同して協力を
了解してくれた患者一家が現れ、その一家を軸に作品は構築
されている。それにしてもこの患者は、終末医療を受けてい
る状況でも、新生児の孫に会うための東京旅行を敢行し、ま
さに劇的な姿を見せてくれるものだ。
その他にも終末医療を受けることで、限定的ではあるにせよ
回復を見せる患者など、希望を失わないことが如何に人間の
状態を変化させるものか、そんな奇跡的な映像にも溢れた作
品になっている。
監督は、以前には教育映画やテレビ番組、企業のPR映像な
どを制作していた溝渕雅幸。本作が劇場用作品の第1作で、
次回作では小児ホスピスや、在宅ホスピスなどの現状を描き
たいそうだ。
12月16日(日)
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