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On the Production
by 井口健二
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■ユダ、みなさん…、明日の空の…、レッド・ライト、ナイトピープル、ハンガリアン・ラプソディ、塀の中のJC、二つの祖国で+Star Wars
2010年『422日系部隊‐アメリカ史上最強の陸軍』などの
すずきじゅんいち監督による日系史3部作の最終章。
監督は、2008年『東洋宮武が覗いた世界』で第2次大戦中の
日系人強制収容所の問題を描き。2010年の作品では特にヨー
ロッパ戦線で活躍した日系人部隊を取り上げた。そして本作
では、太平洋戦線で日本軍の通信傍受などの諜報活動に従事
したMIS(Military Intelligence Service)について描
く。
彼らは422部隊と同じく、アメリカ合衆国に忠誠を誓った
日系の人たち。その中でも特に帰米と呼ばれるアメリカ生ま
れでありながら、日本の親戚などに預けられて日本で教育を
受けた人たちがこの業務に従事した。
そして彼らは、通信の傍受の他にも、太平洋戦線で撤退した
日本軍の残した文書の解読や、捕虜の尋問などで日本軍の実
情を探り、また沖縄では洞窟などに隠れた民衆への投降の呼
びかけなども行っている。
さらには、戦後駐留した米軍の中で日本復興の足掛かりを築
いたのも彼らの業績ではないかと語られているものだ。その
中には単独で昭和天皇に面会した人物も、映画の中のインタ
ヴューに登場する。
そこには、422部隊があくまでもアメリカ人として勇猛果
敢に戦った以上に、日本で教育を受け知り合いもいる人たち
の葛藤が描かれている。それは正に兄弟が銃口を向け合うこ
とでもあったのだ。
それにしても、日本兵が「生きて虜囚の辱めを受けない」と
して捕虜になった時の対応の仕方が教えられておらず、尋問
ではちょっと優しくすれば、直ぐに懐柔に応じてしまったと
いう話や、兵士の日記が貴重な資料になったという話。
さらには日本国内で出版された本に、全陸軍の将校の名前や
所属が掲載されていたという話などには、全く日本軍という
のは何をやっていたのかという感じもして、ある意味観てい
て恥ずかしくもなってくる作品だった。
まあそんな稚拙な軍隊だった日本軍の実態が垣間見られるの
も、何かと右傾掛かっている今の日本には薬になりそうな作
品でもあった。反戦論者の僕としても興味深い作品で、中で
は感動もさせられる作品だった。
        *         *
 続報で“Star Wars: Episode VII”の脚本家に、2010年の
『トイ・ストーリー3』を手掛けたマイクル・アーントの起
用が発表された。これはディズニーとルーカスフィルムが公
式に認めたものだ。
 因に、『トイ・ストーリー』シリーズはジョン・ラセター
が作り上げた世界観によるものだが、『3』はその世界観を
見事に踏襲し、より大きな世界観に発展させたもので、その
手腕は高く評価されている。
 今回の“Episode VII”も同様に、ジョージ・ルーカスが
作り上げた世界観を発展させるもので、その手腕に期待が寄
せられるものだ。なお物語は、少なくとも3作分をルーカス
が執筆したとのこと。
 また監督には、マシュー・ヴォーンなどいろいろ名前が挙
がっているようだが、まだ確定の報道はないようだ。

11月11日(日)
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