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On the Production
by 井口健二
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■もうひとりのシェイクスピア、マリーゴールド・ホテル、009、フリーランサー、みせものやさん、阿賀に生きる、96時間リベンジ、PA4
主人公の一家に襲いかかる訳だが、盗人猛々しいというか、
まあ元々が犯罪民族という感じなのだろうけど、ヨーロッパ
のそんな風俗も描かれている感じの作品だ。
とは言えそれは、復讐が復讐を呼ぶ現代社会も反映している
という見方もできるが、結局は主人公(自ら正義と称してい
る)の側が勝ち残ってしまうのだから、その横暴さは主人公
が所属している国を巧みに表しているとも言えそうだ。
それにしても、前作のフェムケ・ヤンセンは、プレス資料を
見るまで思い出せない程度の役柄だったが、本作では見事に
準主役で、ヤンセンほどの女優を前作に起用していたのは、
最初からこの続編は考えられていたのかとも思えるほどだ。
また前作では、主人公の所属する組織やその技術などが巧み
に配されていたが、本作ではもっとベーシックな聴覚や記憶
力などが威力を発揮する。その辺の変化の付け方も巧みに感
じられた。
共演は、ラデ・シェルベッシア。2008年10月紹介『アイズ』
などにも出演のクロアチア出身のベテランが登場している。
また再演のグレイスは、先月紹介『ロックアウト』と比べて
見るのも面白い感じだ。
主な舞台はイスタンブールで、その迷路のような街並みは撮
影のための封鎖もままならず、一部はゲリラ撮影も敢行され
ているそうだ。そんなリアルな風景や、全体に漂うエキゾチ
ックな雰囲気も存分に楽しめる作品になっている。
それに第3作も、やはり作られそうな展開だ。

『パラノーマル・アクティビティ4』
              “Paranormal Activity 4”
2009年12月にシリーズ第1作と、2010年11月には日本版リメ
イクの『第2章−TOKYO NIGHT−』を紹介しているPOVホ
ラーの本国のシリーズでは第4作となる作品。
実はシリーズの第2作と第3作も試写は観ているが、サイト
での紹介はしなかった。それは特に第2作では、新たに加え
られた設定が煩わしかったりしたのだが、本作はその第2作
からストーリーが展開される。因に第3作は前日譚だった。
そしてその第4作は、予想以上の作品になっていた。
元々本作はホームヴィデオの映像という設定で、その始まり
は日常の風景。そして超常現象が起こり始め、各所に監視カ
メラを設置することになるが、実はこの間の流れが前作まで
はかなり煩わしかった。
ところが本作では、その映像機器がスマートフォンやPCの
映像チャットに付随する録画機能となって、まあその設置の
お手軽なこと。この部分に停滞がないことで、その後の一気
の展開が極めて滑らかになり、観ていても軽快な作品となっ
ていた。
この辺は、ここ数年の状況の変化を敏感に捉えたものだが、
この現実感が見事にシリーズを復活させたとも言えそうだ。
さらに本作では、ヴィデオゲームの機能なども巧みな映像と
して生かされていた。そして物語では、第2作で残された謎
が新たな展開を迎えることになる。
と言っても、本作はお話よりこれらの機器を通じて描かれる
超現象が見所な訳で、その点では充分に満足できる。しかも
ショックシーンは前作以上に鮮烈で、久しぶりに背中がゾク
ゾクする感覚を味わえた。
監督は前作に引き続いてのヘンリー・ジュースト&アリエル
・シュルマン。脚本にはシリーズ第1作の監督で全作の製作
も務めるオーレン・ペリに、ドラマ『プリズン・ブレイク』
などを手掛けるザック・エストリンが参加。この働きが効い
たようだ。(本項は10月25日に更新)

10月21日(日)
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