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On the Production
by 井口健二
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■裏切りの戦場、北のカナリア、合衆国最後の日、僕の中のオトコの娘、カリフォルニア・ドールズ、拝啓愛してます、LOOPER、ゲットバック
親殺しのパラドックスは、SFの永遠のテーマの一つだが、
本作のは未来の自分殺し、ここにはパラドックスは生じない
が、人間ドラマは生み出されることになる。そんなところが
目新しい作品となっていた。
そしてそこには、2044年以降の未来都市の風景なども描かれ
て、その辺はSFファンにも興味を惹かれる作品と言えそう
だ。ただまあ、結末が如何にも一般受け狙いという感じで、
SFファンとしてはここでもう一捻り欲しかったかな。
その一方で、人間ドラマはそれなりに面白いものになってい
て、主人公の未来が過去を変えようとする理由付けなども、
良い感じだった。その手口が『ターミネーター』を彷彿とさ
せるのは、監督のそれなりのオマージュなのだろう。
出演は、2010年7月紹介『インセプション』などのジョセフ
・ゴードン=レヴィット(彼は製作も兼ねている)とブルー
ス・ウィリス。それに今年4月紹介『ザ・マペッツ』などの
エミリー・ブラント、2010年10月紹介『ウッドストックがや
ってくる!』などのポール・ダノらが脇を固めている。
『ゲットバック』“Stolen”
先月紹介『エクスペンダブルズ2』のサイモン・ウェスト監
督が、1997年『コン・エアー』以来となるニコラス・ケイジ
と組んだ作品。本作の公開キャンペーンの中では、ケイジの
“The Expendables 3”への出演も発表されたものだ。
主人公は鮮やかな手口の強盗。この日もFIBが監視する中
を、見事に1000万ドルの札束の盗み出しに成功する。ところ
がある手違いから主人公だけ現場に取り残され、ついに彼は
逮捕となる。
それから8年、盗まれた現金が発見できず微罪だけの刑期を
終えた主人公は、FBI捜査官の執拗な監視の目の中を娑婆
に戻ってくる。しかし訪ねた愛娘からは冷たくあしらわれ、
失意の中を昔の仲間の女性を訪ねる。
ところがそこに架かってきた電話は、昔の仲間だった粗暴な
男が娘を拉致し、12時間以内に1000万ドルの分け前を渡さな
ければ、娘を殺すというものだった。
しかしその金は証拠隠滅のため焼却したもの。そこでFBI
にも助けを求めるが、彼らも金の行方を疑っており、主人公
は警察にも追われながらの誘拐犯探しと、身代金とも言える
金の調達をしなければならなくなる。
共演は、2009年8月紹介『あなたは私の婿になる』などのマ
リン・アッカーマン、今年5月紹介『リンカーン弁護士』な
どのジョッシュ・ルーカス、4月紹介『タイタンの逆襲』な
どのダニー・ヒューストン、それに2011年10月30日付「東京
国際映画祭」で紹介『デタッチメント』に出ていたサミ・ゲ
イル。
映画の中で主人公が繰り出す手口の一つに思わずニヤリとし
てしまった。それは斬新といえば斬新な手口だが、実は僕ら
の年代だと「スパイ大作戦」のエピソードの一つとして印象
に残っているもので、それが再現されていることにも嬉しく
なった。
しかも、放送のエピソードでは考えなかった防犯装置が今回
はあって警察側もそれで動くのだが、主人公はそれも凌駕し
て犯行を成功させる。この辺の展開には、制作者たちも判っ
ているなという感じがしたものだ。
脚本は、以前は雑誌編集者で今年8月紹介『デンジャラス・
ラン』で脚本家デビューを果たしたデヴィッド・グッゲンハ
イム。製作総指揮は、『エクスペンダブルズ』シリーズも手
掛けるアヴィ・ラーナーと、『チャーリーズ・エンジェル』
などの監督のマックGが担当している。
10月14日(日)
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