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On the Production
by 井口健二
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■苦役列車、ジョルダーニ家、グレイヴ・E、ジョイフル♪ノイズ、彼女について知ることのすべて、ブライズM、王朝の陰謀、白い指+Carrie
いる。そしてその中で、サモ・ハンが武術指導を担当した見
事なアクションも描かれるものだ。
『白い指の戯れ』
『花芯の刺青 熟れた壷』
すでに2回4本を紹介している日活創立100周年記念企画で
上映される作品群の中から、今回は1972年村川透監督作品と
1976年小沼勝監督作品の試写が行われた。
村川監督の前者は、東京の渋谷や新宿を舞台にした集団スリ
団と関りを持つようになった女性が主人公の物語。喫茶店で
声を掛けられた男性と付き合い始めた主人公が、徐々にその
組織に取り込まれて行く姿が描かれる。
主演は本作がデビュー作の伊佐山ひろ子。それにミュージシ
ャンとしても人気の高かった荒木一郎。因に本作は、荒木が
1969年に強制猥褻致傷の容疑で逮捕身柄送検(不起訴)され
て以降の作品となっている。
映画では渋谷駅前の六本木通りと明治通りの角に建つ喫茶店
が何度も登場し、その窓からは渋谷パンテオンの入った東急
文化会館や、東邦生命ビル(現・渋谷クロスタワー)の工事
現場の見えるのが懐かしかった。
また新宿の紀伊国屋書店内で撮影された万引きのシーンなど
もあって、当時はこんな撮影も可能だったのだと改めて感心
もした。さらに映画には1970年以降の若者の往き所のない苛
立ちようなものも描かれ、その時代を生きた自分には懐かし
さ以上のものが感じられた。
小沼監督の後者は、東京下町を舞台にした紙人形師の女性と
その娘の愛憎劇で、娘が知り合った男性を巡って母親と娘が
艶技を繰り広げる。そしてそれが女性の全身を彩る刺青の図
柄へと繋がって行く。
出演は、谷ナオミ、北川たか子、花柳幻舟。そして彫り師役
を蟹江敬三が演じている。
なおこの作品では、歌舞伎役者による船乗り込みのシーンが
登場し、その場所は隅田川のように見えたが、本作が製作さ
れた1976年当時に東京でこのようなことが行われていたとは
知らなかった。
船乗り込みは元々は関西の歌舞伎の行事で、道頓堀を中心に
1979年、52年振りに復活したその1回目には小松左京氏も乗
り込んだものだ。それがその3年前に東京で行われていたよ
うなのだが…。できたらこの詳細も知りたくなった。
試写会は今回までだが、5月12日からの一般公開では紹介し
た6本を含む全32本が上映される。その中では、製作当時に
は過激な暴力描写などで公開が中止された曾根中生監督作品
『白昼女狩り』の本邦初公開も行われるとのことだ。
* *
MGMが、1976年に公開したスティーヴン・キング原作の
ホラー作品『キャリー』“Carrie”のリメイクを計画し、そ
の主演に2011年5月紹介『モールス』などのクロエ・グレー
ス・モレッツが発表されている。
オリジナルは、ブライアン・デ・パルマの監督で、主人公
キャリー役のシシー・スペイセクを一躍スターの座に押し上
げたものだが、当時のスペイセクは27歳、それが高校3年生
を演じていたのは演技力も抜群の感じだった。
それに対して今回のモレッツは1997年生まれ、今夏に予定
の撮影時でも15歳で、高校3年生というにはまだ若い感じだ
が、果たしてどのような物語が展開されるのか、興味津々の
作品になりそうだ。
脚本は、テレビ『グリー』などのロベルト・アギーレ=サ
カーサ。監督には1999年『ボーイズ・ドント・クライ』など
のキムバリー・ピアースの起用が発表されている。
全米公開は2013年3月15日からソニーの配給で行われる。
04月15日(日)
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