ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460133hit]

■マンイーター、ルート・アイリッシュ、父の初七日、それぞれの居場所、アーティスト、テイク・シェルター、アポロ18、イップ・マン誕生
2010年11月紹介『イップ・マン葉問』の前日譚に当る作品。
前作の後に一般公開された『イップ・マン序章』は観に行け
なかったが、今回は『誕生』なので物語の流れとしては問題
ないようだ。
その物語の背景は、1905年の中国広東省佛山市。資産家のイ
ップ家の実子として生まれたマンと、一家の養子に迎えられ
た義兄ティンチーは幼い頃から別け隔てなく育てられてきた
が、武道修業のため2人揃って詠春武館に預けられる。
そこで2人と妹弟子のメイワンを加えた3人は、一緒に鍛練
に励んで行くが…それは微妙な三角関係にもなって行く。そ
して青年となったマンは香港の学院に留学し、1人の老達人
に巡り会う。こうして詠春拳の新たな一面を学んだマンは武
館に帰ってくるが…
一方、武館で腕を上げたティンチーは副館長として武館を守
っていたが、中国本土には日本帝国の影が落ち始め、武道界
にもその影響が出始める。そして詠春武館にも魔の手は伸び
ていた。
さらにマンには意中の女性も現れ、そんなロマンスも織り込
みながら、大陸支配を強めようとする日本帝国の手先と、中
国人民の壮絶な戦いが描かれて行く。
主演は、1999年香港史上最年少で世界武術選手権に優勝し、
『イップ・マン序章』で映画デビュー。昨年10月紹介『19
11』にも出演のデニス・トー。『序章』『葉問』でマンを
演じたドニー・イェンに何となく風貌が似ているのは考慮さ
れた結果だろうか。
他に、前2作にも出演のルイス・ファン、サモ・ハン・キン
ポー。さらにユン・ピョウ、2007年8月紹介『呉清源』に出
演のクリスタル・ホワン、デニス・トーの弟子のローズ・チ
ャン、昨年8月紹介『アクシデント』などのラム・シューら
が脇を固めている。
また、メイワイの少女時代の役には2008年3月紹介『ミラク
ル7号』で主演デビューしたシュー・チャオが扮する。そし
てマンが香港で教えを乞う老達人役には、イップ・マンの実
の息子のイップ・チュンが扮し、90歳近い高齢に関らず見事
な武術を魅せている。
まあ、日本人の描き方にはいろいろ言う人もいるかも知れな
いが、我々の先代が実際にこのようなことをやっていたとい
うことは認識しておくべきものだろう。

02月26日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る