ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460133hit]
■モンスターズクラブ、寒冷前線コンダクター、ある秘密、SHAME、青い塩、ほかいびと、僕等がいた、私が生きる肌、捜査官X+VES賞
り、正に巧みなフィクションの世界が展開される。特に結末
では、これは見事にしてやられたと思わされてしまった。
いやはや、本当にこれこそが物語と言えるものだろう。
共演は2011年7月紹介『この愛のために撃て』などのエレナ
・アナヤ、アルモドバル監督の1998年作『オール・アバウト
・マイ・マザー』にも出演のマリサ・バルデス、2011年1月
紹介『悲しみのミルク』などのスシ・サンチェス。
他には、いずれもスペインのテレビで活躍するジャン・コル
ネット、ロベルト・アラモ、ブランスカ・スアレスらが脇を
固めている。
また本作では、衣装をフランスのファッションデザイナー、
ジャン=ポール・ゴルティエが担当している。因に、リュッ
ク・ベッソン監督『フィフス・エレメント』の衣装も手掛け
たゴルティエは、1993年『キカ』以来のアルモドバル作品へ
の参加となっている。
『捜査官X』“武侠”
2011年3月紹介『孫文の義士団』などを製作したピーター・
チャンの監督で、同作主演のドニー・イェンと、2008年8月
紹介『レッド・クリフ』などの金城武の共演によるかなりト
リッキーなアクション作品。
物語の背景は1917年。とある寒村で強盗をしようとした2人
の屈強な男が死に至る。それにはその村に住む紙職人の男が
関っていたが、全ては偶然の結果と主張していた。しかも死
んだのは手配中の凶悪犯と判り、男は一躍村の英雄となる。
ところがその死体の検分に来た捜査官はその死に方に疑問を
抱く。果たしてそれは本当に偶然の結果なのか…。調べを続
ける捜査官はやがてある事実に行き当たるが、それはさらに
大きな闇の扉を開くものだった。
映画では最初に証言に沿った場面が示され、その後に捜査官
の視点からの真相の場面が展開される。その少しずつ異なる
2つの場面がそれぞれに納得できるような見事なアクション
で描かれる。それらのアクションをドニー・イェンが的確に
演じていた。
昔、アメリカのMADというパロディ雑誌で、背中にナイフ
を刺され、首に紐の巻き付いた死体に対して、それを偶然の
事故死と言い切る探偵映画のパロディを読んだがあるが、本
作を観ていてそんなことも思い出した。
そんな正にトリッキーな展開を見事に映像で描き切った作品
だ。しかもそれぞれが破綻なく描かれているのだから、この
ようなトリックの好きな観客には堪らない作品と言える。そ
れを実現したドニー・イェンのアクション演出にも拍手した
い。
共演は2007年『ラスト、コーション』などのタン・ウェイ、
2003年『インファナル・アフェア無間序曲』などのクララ・
ウェイ、2007年11月紹介『中国の植物学者の娘たち』などの
リー・シャオラン。
そして香港映画から誕生した最初のカンフースターとも言え
るジミー・ウォングが重要な役柄で出演している。彼が主演
した1972年『片腕ドラゴン』は記憶されるべき作品だ。
* *
VES賞の受賞者が発表されたが、アニメーション関連を
『ランゴ』が独占した他は、“Rise of the Planet of the
Apes”と『ヒューゴ』『キャプテン・アメリカ』『トランス
フォーマーズ』が分け合っている。この結果が26日のアカデ
ミー賞にどう影響するか。
02月19日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る