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On the Production
by 井口健二
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■COTE2、ゴーストライター・ホテル、M・サッチャー、不良少年、セットアップ、アンダーワールド4、桜蘭高校、ポテチ、ピラミッド
ーマも2転3転して、最後は飛んでもないテンションに駆け
登って行く。その結末が実に見事だった。
上映時間は68分の作品で、その中に見事なストーリーが盛り
込まれている。前半のテンポもこれなら納得できるし、この
ような構成のしっかりした作品に久しぶりに出会えた感じも
した。
出演は、井坂×中村作品にすべて出演している濱田岳。昨年
6月紹介『極道めし』のヒロインを演じた木村文乃。他に、
大森南朋、石田えりらが脇を固めている。また監督の中村も
重要な役柄で出演している。
なお映画化は、『ゴールデンスランバー』以降、自作の映画
化をしばらく止めると語っていた井坂が、3・11の震災直後
に中村に何でもいいから何かやりたいと連絡を入れ、すでに
本作を構想していた監督が即座に決めたものだそうだ。
そして撮影はオール仙台ロケで行われ、8日間というタイト
なスケジュールで行われたその撮影には、『ゴールデン…』
にも協力した地元のヴォランティアが再結集して、クライマ
ックスシーンを盛り上げている。
『ピラミッド 5000年の嘘』
“La révélation des pyramides”
2005年に出版されたジャック・グリモーの著作に基づき、そ
の原作者と2001年に“Qui veut devenir une star?”という
SF映画の監督歴があるパトリス・プーヤールの制作による
ドキュメンタリー作品。
エジプトで5000年前に建設されたとされるピラミッドがメー
トル法に基づいて設計され、また円周率πや黄金数φに基づ
く数値が各所に使われている、というグリモーの主張を検証
し、さらにそこから導かれる驚愕の事実を描き出す。
実は昨年12月にも試写を観せて貰ったが、グリモーとプーヤ
ールの台本によるナレーションの情報量が多くて字幕ではそ
れが追い切れない感じがした。そこで今回は日本語吹き替え
ナレーションによる日本公開版を観せて貰ったのだが…。
作品は前半でピラミッドの検証を行っているが、この辺は何
というか飛んでも学説的な雰囲気で、事前に知っているとい
うか本作がフランスで公開された後でネットに流れた情報な
どで判っている部分も多く、字幕版でも理解できていた。
これに対して問題は、そこから導き出される「事実」の部分
なのだが…。これがオリジナルのテキストもそうなのか実に
判り難い。しかも肝心のところが妙にぼやかされていて、主
張が明確に伝わってこない。そこで以下は僕なりの解釈をし
てみる。
制作者たちの主張は危機が迫っているということで、それに
沿って考えると、重要と思われるのは、検証された地球を取
り巻く古代遺跡の示す点が現在の北磁極に一致し、移動する
磁極が一致するのには長い年月が掛かるという点だろう。
これによって地磁気の反転の近いことが予想され、その際に
地球規模の災厄が訪れるというものだ。そしてその危機の到
来をピラミッドを始めとする地球を取り巻く古代遺跡の配列
が示しているということだ。
ところが映画はその点を充分には主張せず、しかもその後に
数万年におよぶ星座の動きの話などが出てきて主張がぼやか
されてしまう。その上この部分では科学的に墓穴を掘ってい
る内容もあって、映画を胡散臭くもしてしまっている。
何故そのようなことをしているのかも判らないのだが、その
直前まではそれなりに興味も湧いていただけに、何とも勿体
無い感じもしてしまった。
なお、超ナレーションと称する日本語版のナレーションは、
トム・クルーズの吹き替えなどを手掛ける森川智之が担当し
ている。
02月12日(日)
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