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On the Production
by 井口健二
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■へんげ、夢の教室、FLY!、幸運の壺、ヤング≒アダルト、トテチータ、スーパー・チューズデー、ももへの手紙、僕達急行
り、母親が幼い頃を過ごした瀬戸内の島に引っ越してくる。
さらにその後を追って雫のような怪しい物がやってくる。と
ころがそのときにちょっとした接触で彼女は彼らの姿が観え
るようになっていた。
そして引っ越し先の古い家の屋根裏で、彼女は祖父が収集し
ていたという妖怪を描いた黄表紙本を発見し、その中から開
放されたという妖怪3人組と遭遇する。その妖怪たちはその
家に居着いていろいろ悪戯を始めるが…
父親を亡くした娘がその痛手から立ち直り、人として成長し
て行く。まあなんと言うか、日本のアニメのかなりの部分が
こんな話に占められているような気もするが、それはそれな
りに需要のあるものなのだろう。
そこに妖怪が絡んでくるものだが、本作の妖怪は正に黄表紙
本から採られたとのことで、そこは和のテイストもしっかり
の妖怪が描かれていた。しかもクライマックスでの活躍ぶり
は、ジブリ作品などとは少し違っているかなあという感じは
したものだ。
製作は、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』や『イノセン
ス』など押井守作品を手掛けるProduction I.G。因に沖浦監
督は上記作品のアニメーターを務めている。
声優は、主人公の少女に2011年『アイリス』などに出演の美
山加恋、その母親役に優香。また妖怪3人組を、西田敏行、
山寺宏一、それに『LOTR』のゴラム役の吹き替えなどの
チョーが担当している。

『僕達急行・A列車で行こう』
2009年7月紹介『わたし出すわ』などを発表し、昨年12月に
急逝した森田芳光監督による遺作。小町と小玉という2人の
男性を主人公に、京浜急行から九州新幹線までの鉄道情報を
満載にした青春ドラマ。
小町は大手ディベロッパーに務める営業マン。趣味は鉄道だ
が、そのスタイルはローカル列車で音楽を聞きながら車窓を
眺めているというもの。しかしガールフレンドからは理解さ
れず、旅先で別れを告げられてしまう。
小玉は町工場の工場主の息子。メカには強く、モーターの音
だけで列車や製造会社を判別できるほど。しかし父親の工場
は銀行融資を断られ、技術はあるのに製造機械の老朽化で先
行きは明るくない。
そんな2人が旅先で出会い、お互いの趣味を尊重し夢を育ん
で行く。そこに日向に北斗、天城、谷川、湯布院、筑後、大
空、さらにアクティ、ユーカリ、サンダーバードといった外
国人まで絡んで物語は展開される。
映画は最初から渓谷を走るローカル列車の車窓で、そこで語
られる鉄道情報など鉄道マニアに一直線という感じの作品だ
が、さらに2人の名前には文字通り吹いてしまった。その後
も青春18切符やトレインヴューなど、正に「鉄」の映画と言
う感じの作品だ。
まあ僕も、今年は春と夏の青春18切符ではそれぞれ九州まで
行く予定だから、この映画に出てきた話題にはいろいろ関心
も湧いた。そんな興味満載の作品。日本中の鉄道マニアはこ
の映画を残してくれた森田監督に感謝し、こぞって支援する
べきだろう。
出演は、松山ケンイチ、瑛太。他に貫地谷しおり、伊東ゆか
り、ピエール瀧、伊武雅刀、村川絵梨、星野知子、笹野高史
西岡徳馬、松阪慶子らが脇を固めている。
森田監督の作品では、1992年『未来の想い出』はもちろん、
1996年『(ハル)』にもSF的興味を引かれた。それからは
あまりその種の作品はなかったが、『わたし出すわ』には、
思わず手を叩きたくなる展開が隠されていた。
もっと本格的なSFにも挑んで欲しかった監督の逝去が悔や
まれると共に、ご冥福をお祈りしたい。

02月05日(日)
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