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On the Production
by 井口健二
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■Pina、ロンドンBlv、ブラディP、指輪をはめたい、Xマスのその夜に、不惑のアダージョ、王様ゲーム、ホーボー/ショットガン+お断り
お話は、元々がケータイ小説だから他愛もないが、それなり
に現代の若野の風俗も取り入れられていて、これなら携帯世
代の連中にヒットするだろうとは思えるものだ。またそんな
風俗が映画でも巧みに描かれていたようだ。

『ホーボー・ウィズ・ショットガン』
                “Hobo with a Shotgun”
昨年公開された『マチューテ』に続いて、2007年7月紹介の
『グラインドハス』に挿入されたフェイク予告編から作られ
た作品。昨年の作品は試写では観せて貰えなかったが、今回
は案内が届いた。
その物語は、1973年の『北国の帝王』などでも描かれたホー
ボーを主人公にしたもの。その主人公が貨物列車からとある
街に降り立つところから始まる。その街は暴力が支配し、支
配者一族による残虐行為が横行していた。
しかし、住民たちはそれを見て見ぬ振りというか、自らへの
暴力を恐れてそれらを支援している有様。その態度は警察組
織までも巻き込んでいた。そしてそんな街で、主人公も最初
は周囲に関わらないよう行動していたが…。
脚本と監督はカナダ出身のジェイスン・アイズナー。高校時
代から映画製作を始め、すでに短中編作品での評価も高かっ
たという監督が、2007年『グラインドハウス』の公開に合せ
て行われたフェイク予告編のコンテストに応募。
製作費$150で作られたその作品がロベルト・ロドリゲス監督
の目に留まり、『グラインドハウス』の全米公開時に本篇と
共に上映された。そして今回は、その予告編の本篇を自らの
手で製作することになったものだ。
主演はルトガー・ハウアー。元々1986年『ヒッチャー』など
で彼のファンだという監督がオファーしたものだが、ハウワ
ーは最初は二の足を踏んでいたようだ。しかし取り敢えず行
ったSkypeを通じての監督との歓談で意気投合、出演を決め
たのだそうだ。
他には、2008年4月紹介『あの日の指輪を待つきみへ』に出
演のグレゴリー・スミスらが共演している。
因に本作は残酷描写などが指摘されてR+18の指定になってい
るが、映画は無修正で公開されるものだ。
また、映画は巻頭で麗々しくTechnicolorの表示が出るが、
エンドクレジットによると撮影はRedディジタルカメラで行
われており、日本公開では上映もディジタルで行われる。し
かし全米公開用のフィルム化は、Technicolor社の現像所で
行われたようだ。
ただ、折角Technicolorの表示を出すなら、フェイクのフィ
ルム傷を緑色にするくらいの洒落っ気は欲しかった。それは
僕らが若い頃にフィルム方式を見分ける方法として教えられ
たものだが、若い監督たちにはそのような情報は欠如してい
たようだ。
        *         *
 いよいよ今週末の土曜日から第24回東京国際映画祭が開催
されるが、今年は例年行われてきたコンペティション作品の
マスコミ向け事前試写が実施されないことになり、それらの
作品を映画祭の期間中に観なければならなくなった。
 僕としては映画祭の顔であるコンペ作品は最優先で観るこ
とにするつもりだが、それによって「アジアの風」や「ワー
ルドシネマ」などの注目作品を例年ほどには観ることができ
ないことになってしまった。
 またコンペ作品も諸般の事情で全部を観られるか覚束ない
状態で、本ページで行う映画祭の報告も例年ほどのものには
できないと思われる。映画祭は来週だが、一応そういう事情
なので予めお断りさせて貰うことにした。

10月16日(日)
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