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On the Production
by 井口健二
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■WAYA、ライオン・キング3D、クイック、スマグラー、RAILWAYS2、ネムリユスリカ、三銃士、サラの鍵
ド、アンヌ王妃役には2007年12月紹介『つぐない』などのジ
ュノー・テンプル、ルイ13世役に名優エドワード・フォック
スの息子で演劇学校を卒業したばかりのフレディ・フォック
スら、期待の新星も出演している。
何しろ剣戟戦もアクションもVFXも満載の作品で、キャメ
ロン開発フュージョン3Dカメラで撮影された3D感もたっ
ぷり楽しめる。正にエンターテインメント大作と呼べる作品
だ。
なおアンダースン監督は、以前に「自分の作品は常に3部作
を考えて作っている」と語っていたが、本作も続編は作られ
そうだ。
『サラの鍵』“Elle s'appelait Sarah”
世界的なベストセラーになっているタチアナ・ド・ロネ原作
の映画化で、昨年の東京国際映画祭で監督賞と観客賞をW受
賞した作品が日本公開されることになり、改めて試写を観に
行った。
物語については昨年10月24日付でも紹介したが、1942年7月
16−17日にパリに住んでいたユダヤ人を襲った悲劇を描いた
もの。さらにそこに隠された謎を、アメリカ出身だがフラン
ス人の夫と共に現代のパリに在住する女性ジャーナリストが
追求して行く形式を取る。
それは、1995年になって漸くフランス政府が公式に謝罪した
ユダヤ人迫害の歴史。その日、パリのユダヤ人はフランス警
察によって老若男女を問わずに一斉検挙され、ヴェルディヴ
の冬期競輪場にすし詰め状態で留置される。
そこではトイレも閉鎖され、医師も8000人といわれる収容者
に対して3人しか配置されていなかった。さらに収容者には
食事はおろか、水もほとんど配給されない状態で5、6日が
経過され、その後は各地の収容所へと送られて行った。
一方、そのユダヤ人が去った後のアパルトマンに、主人公の
夫の祖父一家は引っ越してくる。そこに隠された悲劇も知ら
ずに。そして主人公の追跡は、ヴェルディヴに連れ去られた
1人のユダヤ人少女の数奇な運命を炙り出して行く。
その時のヴェルディヴの記録は、唯1枚の俯瞰写真以外ほと
んど残されていないとされる。それは何事も記録したナチス
のやり方にそぐわないが、実はそれがフランス警察によって
独自に行われた事の証左になっているとのことだ。
そして映画では、現代と過去と巧みに交錯させて、その悲劇
の有り様を見事に再構築して行く。ホロコーストはアウシュ
ヴィッツだけではなく、収容所の被害者名簿に残っていない
人々も襲っていたのだ。
脚本と監督は、自身の祖父が収容所で亡くなっているという
ジル・パケ=ブレネール。その監督は、原作を読み始めて直
ぐに映画化を決意し、本作の共同脚本も手掛けたセルジュ・
ジャンクールが原作者の知人であったこともあって映画化を
申し入れた。
その後、原作がベストセラーになって作家には世界中からの
オファーが殺到したが、原作者は最初の約束を守ったとのこ
とだ。
出演は、2002年9月紹介『ゴスフォード・パーク』などのク
リスティン・スコット・トーマス。またサラ役には、2010年
9月紹介『Ricky』でも幼い姉を演じていたメリュジー
ヌ・マヤンス。紹介作でも着目した新星が、本作でも見事な
演技を観せている。
他に、2003年4月紹介『夏休みのレモネード』などのエイダ
ン・クインらが共演。
今年3月紹介『黄色い星の子供たち』とも対になる作品だ。
09月25日(日)
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