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On the Production
by 井口健二
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■鉄拳、ホームランが聞こえた夏、A3DU、ドライブ・アングリー3D、アザー・ガイズ、アジョシ、ムーランルージュの青春+Comic-Con
また当時は、劇団で人気を得た俳優の引き抜きなどもあった
が、それに対して支配人(マスターと呼ばれていた)佐々木
は、すべて成長の証として快く送り出していたという。そし
て次々に新しい才能も発掘されて行ったということだ。
そんな中から巣立っていった俳優・歌手の顔ぶれは、望月優
子、武智豊子、左卜全、有島一郎、由利徹、三崎千恵子、春
日八郎、市村俊幸、水谷八重子、千石規子、若水ヤエ子、楠
トシエ、森繁久彌、谷幹一。昭和の映画や放送界を支えた人
たちの名前が並ぶ。
さらに、初舞台当時には15歳そこそこでダンサーや歌手とし
て活躍し、新聞広告や商品ポスターのモデルにも起用される
など、元祖アイドルとも呼べる存在だった明日待子、小柳ナ
ナ子らの消息なども紹介され、特に90歳で健在の明日待子の
姿は感動ものと言える。
一方、当時の観客席には、菊池寛や斎藤茂吉、金田一京助、
さらに若き日の黒澤明や川島雄三らも足繁く通い、当時早稲
田大学の学生だった野末陳平は自ら画面に登場して思い出を
語ってくれる。
また作品には、当時の名作の再演シーンなども織り込まれて
往時が忍ばれる構成にもなっている。さらに出征を控えて観
客席を訪れた学徒のエピソードなどはかなり衝撃的なものが
再現されていた。
この劇場の名前を僕は、森繁久彌が戦後復員してすぐに所属
していた劇団ということで目にしていたものだが、実物を知
らなかった僕には大衆演劇の劇場の一つというぐらいの認識
しかなかった。しかしこの作品で文化の拠点として再認識し
たものだ。
戦時の劇場を描いた作品では、2006年9月『ヘンダーソン夫
人の贈り物』や2009年7月『幸せはシャンソニア劇場から』
なども紹介しているが、ドキュメンタリーではどうしても好
事家の関心に限られる。ここはぜひともドラマ化した作品も
期待したいものだ。
        *         *
 アメリカでは先週末にサンディエゴのComic-Conが開催さ
れたところだが、各紙にその報告が上がっていたので紹介し
ておこう。
 まず今年のハイライトは、大会に初参加したスティーヴン
・スピルバーグが“Jurassic Park 4”の構想を述べたこと
のようだ。
 因にこの発言は、第1作は製作に回ったピーター・ジャク
スンと共に出席した“The Adventures of Tintin”のパネル
の中で行われたのだが、実は数週間前からネット上には噂が
飛び交っていたそうで、それを本人が正式に認めたものだ。
なお発言によると、状況はストーリーと脚本家が決まって製
作に向けて動き出したところで、2、3年の内に公開したい
とのことだ。
 ただし今回のパネルは“Tintin”のアメリカ配給を担当す
るパラマウントが設定したものだが、シリーズの前3作を配
給したのはユニヴァーサル、また製作のドリームワークスは
現在はディズニーと契約しており、第4作の配給を何処が行
うのか、気になるところだ。
 もう1人、注目の発言者は、ロベルト・ロドリゲス監督が
“Heavy Metal”の映画化権を獲得、新作アニメーションの
製作に向けて動き出したとのことだ。
 この企画に関しては、2008年9月15日付第167回などでも
紹介したが、結局その計画は実現しなかったようで、今回は
雑誌と新たな契約が結ばれたものだ。因に発表は、以前の計
画にも登場した現雑誌オーナーのケヴィン・イーストマンと
共に行われていた。
 後は、昨年5月30日付で紹介の“Pacific Rim”がギレル
モ・デル・トロ監督を得て大々的なプロモーションを行った
とのことで、まだ撮影開始前だが期待が高まったようだ。

07月31日(日)
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