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On the Production
by 井口健二
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■AVN、ザ・ウォード、モンスターズ、天国の日々、men's egg、スーパー8、スリー・デイズ+Thor記者会見
30年の刑に処せられてしまう。それは2人の間の幼い息子が
大人になってしまう年月だ。
これに対する妻の主張は、彼女が現場付近でぶつかった物取
りによる犯行で、彼女はその直後に現場に行ったが死体には
気付かず車に乗ってしまった…というもの。その主張を信じ
る夫は手を尽くすが、控訴も棄却されてしまう。
そんな夫が考えた究極の方策は…妻を脱獄させ、家族3人で
海外に逃亡することだった。そしてあらゆる手段を駆使して
その目的に邁進して行くが…。
フランス映画のオリジナルは版98分の作品だが、リメイクの
アメリカ版は2時間2分、さらに日本上映版は2時間14分の
作品になっている。
その長くなった分は、まず主人公側の手立てや計画が克明に
なっているのと、警察側の動きが詳細になっているようだ。
そのためオリジナルでは多少判り難かった部分も本作では納
得できるように説明されていた。
主演はラッセル・クロウ。ハギスがまず彼の主演を想定して
脚本を執筆したとのことで、妻を想う夫の心情の演じ方など
正に填り役という感じだ。
そしてオリジナルではダイアン・クルガーが演じていた妻役
には、2009年4月紹介『ブッシュ』などのエリザベス・バン
クス。さらに2人の息子役には、前回紹介“Insidious”に
出演のタイ・シンプキンスが扮している。
他に、リーアム・ニースン、ブライアン・デネー、昨年12月
紹介『トロン:レガシー』に出演のオリヴィア・ワイルド、
2002年11月紹介『24アワー・パーティ・ピープル』などの
レニー・ジェームズらが脇を固めている。
オリジナルの行間をとことん埋めている感じの作品。しかし
演出がそれを冗漫にせず、特に後半の計画を実行して行く間
の緊迫感は、尋常でないテンションで描かれている。サスペ
ンスとしても見事な作品だ。
        *         *
 今回は、7月2日の『マイティ・ソー』“Thor”公開に合
わせて、同作に出演した日本人俳優・浅野忠信の記者会見が
行われ、質問もしたのでその報告をさせてもらう。因にこの
会見は、現在ロンドンで行われている映画(“47 Ronin”と
思われる)の撮影の合間を縫って帰国し行われたものだ。
 その会見では、最初にテスラ・コイルによる雷光が壇上で
実演され、それに合わせて浅野が登場する演出が施された。
実はこの装置は、僕は以前に横浜で行われた世界SF大会で
も観ているが、その時は自分の出番との関係で実演は見逃し
ており、今回は初めて実際にスパークの飛ぶ様を観ることが
できたものだ。
 その後に浅野の挨拶と、ケネス・ブラナー監督のヴィデオ
コメントが場内に流されたが、その中では浅野が現場で「タ
ッド」と呼ばれていたことが判明。ブラナー監督が親しげに
「タッド」と呼びかける様子は観ていて感動的だった。
 そして僕は、浅野が“Battleship”“47 Ronin”と続けて
ハリウッド資本の作品に出ていることを指摘して、その手応
えはあるかと聞いてみた。しかしその答えは、「それらが公
開され、評価を聞くまでは手応えと言える状態ではない」と
のことで、あくまで謙虚に結果を待っている風だった。
 また併せて、今後は軸足を海外に置くのかとも聞いたが、
「自分は日本映画で育てられたので、今後も日本映画にも出
続けたい」との回答で、これも謙虚な回答だった。
 ただし浅野は、実は祖父がアメリカ人で、子供の頃からア
メリカで何かをしたいという気持ちは持っていたとのこと。
今回は撮影の合間に初めて祖父の墓にも参ったとのことで、
アメリカ映画への思いはかなり強いものがありそうだった。
 以上、記者会見の報告でした。

06月19日(日)
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