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On the Production
by 井口健二
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■女殺油地獄、晴れた青空、大鹿村騒動記、TFDSM(特)、インシディアス、明りを灯す人、田中さん/ラジオ体操、極道めし+Lone Ranger
せち料理に関るもの。4人は順番に今までの生涯で一番旨か
った食事の話をし、その話に喉を鳴らした者の人数で決まる
勝者が各人のおせち料理から一品ずつを貰えるというものだ
った。
そして、それぞれの生涯で一番旨かった料理の話が始まるの
だが…。この話が舞台風の再現ドラマになっており、さらに
そのちょっと戯画化されたシーンに登場する食事が、これが
フードスタイリストが付いた実に旨そうなものばかり。
実は、夕方の試写会を夕食を食べずに観に行ったものだが、
空腹にはかなり堪える作品だった。と言ってもそれほど豪華
な食事ではなく、むしろシンプルなものばかりなのだが、こ
れが実に填っているものばかりなのだ。
そしてそんな食事から見えてくるそれぞれの受刑者の歩んで
きた人生が、実に見事に描かれていた。
また映画には、ガラス戸への写り込みを使ったシーンなど、
映像的にも気に入るところのある作品だった。
主演は、今年1月紹介『津軽百年食堂』などの永岡佑、同房
の受刑者役に麿赤兒、勝村政信、2010年3月紹介『ヒーロー
ショー』などの落合モトキ、パフォーマンス集団「コンドル
ズ」のメムバーで映画初出演のぎたろー。
他に、木村文乃、田畑智子、木野花、内田慈、木下ほうか、
田中要治、でんでんらが脇を固めている。監督は2008年7月
紹介『ブタがいた教室』などの前田哲。
因に、食事話のシーンの演出はロケ撮影ではスケジュール的
に無理となっての苦肉の策だそうだが、作品の内容にはピッ
タリだった。また、話に登場する食事も全て監督のアイデア
だそうで、それをフードスタイリストのせんるいのりこが実
現しているが、これも見事なものになっていた。
        *         *
 2008年10月1日付第168回で紹介したディズニーで進めら
れている“The Lone Ranger”の映画化に、2012年12月21日
の全米公開日が発表された。
 この作品の来歴については、2002年4月10日付第12回でも
紹介しているが、元々はラジオラマが始まりで、その後に連
続活劇やテレビシリーズにもなっている。そして当初コロム
ビアで始められた映画化の計画がその後ディズニーに移り、
第168回で紹介したように、『POTC』を成功に導いたジ
ェリー・ブラッカイマー製作、ゴア・ヴァビンスキー監督、
ジョニー・デップの出演で進められているものだ。
 ただし、デップの配役は主人公のレンジャーではなく従者
のトント。レンジャー役には、昨年10月紹介『ソーシャル・
ネットワーク』で主人公を訴える双子の兄弟を1人で演じた
アーミー・ハマーの起用が発表されている。
 映画の撮影は2008年『レボルーショナリー・ロード』など
を手掛けたジャスティン・ヘイスの脚本により今秋に行われ
る予定だが、発表された全米公開日は前回に報告した“The
Hobbit: An Unexpected Journey”の公開第2週と重なるも
ので、今からその対決が楽しみになるところだ。因に同じ週
には、アン・リー、ジャド・アプトゥ、フィリップ・ノイス
監督らの作品の封切りも予定されているようだ。
 12月後半の公開はまさに賞レースの真っ只中にもなるもの
で、製作者たちの意気込みも感じられる。

06月12日(日)
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