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On the Production
by 井口健二
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■乱反射/スノーフレーク、ロシアン・ルーレット、ハンナ、M・ソー、メタルヘッド、鯨とり、ハングオーバー!!、青空どろぼう+Oz,The Great
も観ている僕には適切な判断は出来ないが。
『青空どろぼう』
先に『平成ジレンマ』という作品が公開された東海テレビ製
作によるドキュメンタリー。
戸塚ヨットスクールを扱った去年の作品は、試写は観たがサ
イトにはアップしなかった。
それは結局、僕が戸塚という人物を好きでないということに
もなるが、いくら刑期を終えたとは言え、昔のままの持論を
述べ立てる前科者の姿を無批判に映している制作者の態度も
不愉快だった。
それは確かに自分の意見ばかりを述べ立てる昨今のドキュメ
ンタリーにも問題はあるが、制作者の意図が全く判らないと
いうか、もしかすると被写体の意見に賛同している? と感
じられるのも、僕には容認できなかったものだ。
その東海テレビ製作によるドキュメンタリーである本作は、
四日市市の石油コンビナート公害を記録し続け、1996年の田
尻賞を受賞した「四日市市公害を記録する会」の澤井余志郎
氏の姿を追っている。
それは人物の姿を追うということでは前作と同じであるが、
本作ではさらに現状の公害問題がどうなっているかという点
が独自の調査で紹介されており、その点では前作とは異なる
アプローチになっている。
そこでは特に澤井氏が追い切れなかった海洋汚染の問題や、
1987年に廃止された「公害健康被害補償法」による新規公害
病患者認定の問題などにも言及し、その問題に関する現四日
市市長へのインタヴューなども行われている。
つまりの作品では、澤井氏の姿を追うことを突破口として、
公害問題の現状にも迫っているもので、この制作態度は納得
できるものになっていた。
それにしても、1987年のまだ毎年新規患者が発生している時
点で認定制度を打ち切り、以後は新規の患者は発生していな
いと言い切る行政の態度にも恐ろしいものを感じるが、それ
以降には当然のごとく公害の垂れ流しを再開した企業にも驚
かされた。
もちろんその公害の垂れ流しは法律違反ではあるが、住民の
懐柔などで裁判所が認めた立ち入り調査権も拒否するなど、
この手の企業の横暴は目に余るものがあった。
因に作品の中では明確にされないが、問題企業は昭和四日市
石油、三菱油化、三菱モンサント化成、三菱化成工業、中部
電力、石原産業の6社だそうだ。
* *
製作ニュースは一つだけ。
2010年6月27日付で紹介したディズニーが進める『オズの
魔法使い』の前日譚“Oz, The Great and Powerful”につい
て、その時も報告したサム・ライミ監督の下、今年7月の撮
影開始が発表された。
ただし、主演はロバート・ダウニーJr.ではなく、今年の
アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジェームズ・フ
ランコ。ライミ監督とは『スパイダーマン』でも組んだ俳優
が蛇油のセールスマンという役柄に挑むようだ。
一方、ミュージカルでも有名な良き魔女グリンダには、今
年1月紹介『ブルー・バレンタイン』などのミシェル・ウィ
リアムスが扮し、レイチェル・ワイズ、ミラ・クニスが扮す
る悪の姉妹と戦うことになっている。
ディズニーでは10億ドル興行を達成した『アリス・イン・
ワンダーランド』に続く作品として、2013年3月8日の全米
公開日を予定しているようだ。
05月29日(日)
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