ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460195hit]
■ブローン・アパート、再生の朝、死に行く妻との旅路、台北の朝僕は恋をする、さくらさくら、幸せの始まりは、唐山大地震+ニュース
トラを動員するなど、映像的に大掛かりな作品も手掛けるよ
うになってきた。
しかし本作でも描かれているのは、大地震の被災者という特
別なシチュエーションの下での家族の姿であり、そのような
シチュエーションだからこその、人間の心理や営みが巧みに
描かれているものだ。
というシャオガン監督の作品だが、実は本作に関して僕自身
は、特に映画の前半で何か居心地の悪さを感じてしまった。
それは単純に姉弟の弟が選択されて救助され、なお且つその
姉も救われているという展開が納得できなかったことにもよ
る。
実際にこの映画に描かれた状況で何故姉は死亡と見做された
のか、その前に弟が救出され姉が死亡したとされる救出現場
のシーンが映画の中では飛ばされていて、その状況を納得で
きる説明がなされていない。
因に、本作にはチャン・リンという作家の原作小説があるよ
うで、そこから2001年『山の郵便配達』などのスー・シャオ
ウエイが脚色したものだが、上記のシチュエーションは字面
では誤魔化せても、映像だとかなり違和感に感じてしまうも
のだった。
そして物語の根幹であるこの部分を疑問に感じると、僕は最
後までその違和感を引き摺ってしまったものだ。でもまあ、
一般の観客はそんなことには構わなかったようで、マスコミ
試写の前に行われたスニークプレヴューの報告によると、会
場は涙と絶賛の嵐だったそうだ。
その他にも本作では、地震に関連する一連のシーンに続いて
毛沢東の葬儀が描かれるが、これにも違和感があった。確か
にこれは同年の出来事ではあるのだが、何故唐突に毛の葬儀
なのか説明はなく、これでは毛が地震の被災者のようにも観
えてしまう。
別の見方をすれば、地震被災者の葬儀より毛の葬儀の方が重
要だったとも取れるもので、8月紹介『超強台風』の超英雄
的な人民解放軍の登場はまだ理解のできる範囲だったが、今
回ばかりはここまで毛万歳の国なのかと思うと恐ろしくもな
った。
とは言っても、一般の観客は多分これも気にはしないのだろ
うし、映画が公開されたら上記した点は無視して後半の人間
の営みだけを観て欲しいものだ。
* *
最後に、12月5日付の『ウォール・スリート』の紹介文の
中に記載した“The Forbes Fictional 15”について、全容
が知りたいというお声をいただいたので、ベスト15のランキ
ングだけ紹介しておく。
その2010年版で選ばれたのは:
1.Carlisle Cullen($34.5 Billion)
2.Scrooge McDuck($33.5 Billion)
3.Richie Rich($11.5 Billion)
4.Tony Stark($8.8 Billion)
5.Jed Clampett($7.2 Billion)
6.Adrian Veidt($7.0 Billion)
7.Bruce Wayne($6.5 Billion)
8.Tooth Fairy($3.9 Billion)
9.Thurston Howell V($2.1 Billion)
10.Sir Topham Hatt($2.0 Billion)
11.Artemis Fowl($1.9 Billion)
12.Montgomery Burns($1.3 Billion)
13.Chuck Bass($1.1 Billion)
14.Jay Gatsby($1.0 Billion)
15.Lucille Bluth($950 Million)
個人的には第11位の選出が嬉しいところだが、いきなり第
1位に飛び出したカレン家のお父さんなど、今後も変動は激
しそうだ。なお詳細は、上記の項目で検索すればオリジナル
のサイトが見付かると思うので、直接ご参照下さい。
12月26日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る