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On the Production
by 井口健二
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■ソウル・キッチン、PA第2章、ザ・タウン、ベストセラー、イップ・マン、モンガに散る、ワラライフ、死なない子供+製作ニュース
親を鈴木杏樹と吉川晃司が演じている。他にYOU、板尾創
路、大谷直子、田中要次らが脇を固めている。
主人公の父親の職業が靴職人というのは関西だとちょっと微
妙かな。特に物語上で意味がある訳でもないし、それを脚本
家が敢えて選んでいることが気になった。でも今はもうそん
なことを気にする人もいないのかな。
それから、プレス資料の題名に添えられた英文のスペルの一
部が、oかaかちょっと分かり難いのも気になった。筆記体の
oは普通上で刎ねると思うがここでは下で刎ねており、一見a
にも見えてしまったものだ。

『死なない子供・荒川修作』
岐阜県大垣市にある奇妙なテーマパーク「養老天命反転地」
の作者としても知られる芸術家・荒川修作氏の本人と、彼が
東京の三鷹に建築した「天命反転住宅」について描かれたド
キュメンタリー。
映画は、講演会と思われる場所での荒川氏の発言と、住宅を
訪れた宇宙物理学者・佐治晴夫氏の発言を中心に、住宅の住
人たちや見学者へのインタヴューなどで構成され、さらに住
宅の住人でもある山岡信貴監督自身の考えが俳優・浅野忠信
のナレーションで挿入されている。
その中での荒川氏の発言は、かなり攻撃的で既知の科学体系
への挑戦のようにも聞こえるが、発言自体はさほど目新しい
ものでもなく、特にSFファンであるならば、この程度のこ
とは了解した上でないとSFも理解できないだろうと考える
程度のものだ。
ただし映画の中でも住人の1人が言っているように、荒川氏
の発言自体はかなり言葉足らずで解り難いことも事実で、そ
こに本作では、住宅に対する佐治氏の解説を入れることで解
り易くしているものだ。
とは言うものの、ここでの佐治氏の解説や監督の考えなどが
正しいかどうかは、荒川氏自身の確認が必要なものだが、今
年5月に死去した荒川氏は本作の完成を観ていないのだそう
で、その辺がこの作品の弱点にもなっている。実際にはこれ
らの発言に対する荒川氏の反論が欲しかったところだ。
しかしまあ、本来芸術は感じるものであって語るものではな
いから、その点で本作は感じればいいのであって、そこにと
やかく言葉を付ける必要もないものだろう。その点で言うと
荒川氏は、何かを語り過ぎているような感じも受けた。
「芸術は爆発だ」と言うのは芸術家・岡本太郎氏の有名な言
葉だが、あれも芸術=創造は爆発=破壊と同じだと説いたも
ので、本作の中で何度も出てくる対立して見える2つの事象
を同一視するという考えに共通する。荒川氏の論点も結局そ
こに行き着くものだ。
なお映画の中では、「養老天命反転地」と「天命反転住宅」
についてもかなり丁寧に紹介されているので、それを観るだ
けでも楽しめる作品だ。
        *         *
 今回は映画紹介が多かったので製作ニュースは一言だけ。
 今年5月9日付でも紹介した“Dark Shadows”の撮影が来
春開始されることになり、主演はジョニー・デップ、監督は
ティム・バートンで行われることが正式に発表された。なお
本作でデップは、グラハム・キングらと共にプロデューサー
も務めることになっている。

11月07日(日)
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