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On the Production
by 井口健二
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■第23回東京国際映画祭<コンペティション部門>
そんなクラスを相手に先生は「美術とは何か」という授業か
ら始めるのだが、当然生徒たちは集中してくれない。そこは
担任の女性教師が教室に入って、見事に対応してくれたりも
する。
一方、他のクラスの担任では、一見やる気の全くなさそうな
ベテラン女性教師も居たりして…そんな中で先生はピカソの
「ゲルニカ」を解説して、父兄からやりすぎだとの抗議の電
話が掛かったり、それでも次にはダリを解説したり…
そして徐々に成果を挙げ始めた先生は、年度末の発表会で目
玉となる演劇の大任を担うことになる。それは、北欧神話に
おける世界の始まりの物語という壮大なものだった。そして
多動症の生徒などもうまく使った演劇が始まる。
こんな物語が、ちょっとアヴァンギャルドなシーンや、生徒
役の子供たちが自身で描いたらしいカラフルや奇想天外な絵
画の数々と共に描かれて行く。その中に教師自身の問題や生
徒の家族の問題など盛り込みながら。
欲張った内容の割には物語はよく整理されていて、観ていて
気持ち良く楽しめる作品になっていた。それは、僕が審査員
ならこの作品をグランプリに推したいほどのものだった。
脚本と監督は自らも教師経験があるというイバン・ノエル。
脚本には先生役で主演したフランシスコ・アルフォンシンも
関っているそうだ。

以上でまず10本。なお今年の東京国際映画祭コンペティショ
ンには、全部で15作品が選出されており、9月19日付で紹介
した『海炭市叙景』もそこに含まれます。残りの4本は後日
掲載の予定です。
その他の部門も、今年は30本程度観ることができそうです。
それらの作品も来週以降に順次紹介しますので、よろしく
お願いします。

10月24日(日)
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