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On the Production
by 井口健二
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■ミレニアム2/3、愛の言霊、シングルマン、GARO、おにいちゃんのハナビ、スプリング・フィーバー、REDLINE+他
る女性ドライヴァーや、裏で糸を引く黒幕なども出てくるか
ら、お話は違うものだ。
脚本は、『鮫肌男と桃尻女』の石井克人の原作から、石井と
『エヴァンゲリオン』の榎戸洋司、『攻殻機動隊』の櫻井圭
記が共同で執筆したもの。ニトロを使ったりそれより強力な
燃焼剤など、アクセサリーはいろいろ用意されている。
ただ、主人公と女性ドライヴァーの関係などはもう少し描き
込めばもっと面白くできたと思うが、レースとそのアクショ
ンを描くことに力点が置かれて、心理的な点が多少おざなり
なのは残念に感じられるところもあった。
声優は木村拓哉、蒼井優、浅野忠信。木村と浅野はそうだと
思えばそれなりの感じだが、木村は兎も角、浅野のアニメの
キャラクターが本人とかけ離れているのが何となくしっくり
と来なかった。ディズニーが声優は骨格で選ぶという理由が
判ったような気もした。
それに対して蒼井は、『鉄コン筋クリート』のときの抜けた
ような声の演技も見事だったが、今回は木村を相手にしての
大人の女の演技で、これもまた聞けるものになっていた。こ
の女優には本当に限界がないようだ。
毒気満載のキャラクターや途中に挿入されるゲストアニメー
ターによるシーンなど、良くも悪くもマッドハウスのファン
には喜ばれそうな作品で、僕には多少食傷気味なところはあ
ったが、多分まだファンは健在なのだろう。
        *         *
 今回は紹介作品が多かったので、製作ニュースのスペース
が無くなってしまった。代りに今年は10月23日から31日まで
開催される第23回東京国際映画祭の事務局から、コンペティ
ション部門の審査委員長決定のお知らせがあったので報告し
ておこう。
 お知らせによると今年の審査委員長に、アイルランド出身
のニール・ジョーダン監督が決定したとのことだ。
 ジョーダン監督は、本サイトでは2007年9月に『ブレイブ
ワン』を紹介しているだけだが、1992年『クライング・ゲー
ム』でアカデミー脚本賞、1996年『マイケル・コリンズ』で
ヴェネチア映画祭金獅子賞、1997年『ブッチャー・ボーイ』
でベルリン映画祭銀熊賞をそれぞれ受賞という映画祭の審査
委員長には申し分のない名匠。しかも、ファンタシー映画の
ファンにとっては、1984年の監督デビュー作『狼の血族』や
1994年の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』などでも
忘れられない。因に『狼の血族』は、1985年の第1回東京国
際映画祭にも出品されており、今回は25年ぶりの映画祭への
復帰となるようだ。
 コンペティションのエントリーは4月20日に開始されて、
締め切りは7月15日になっているが、ジョーダン監督の審査
委員長就任で、特にファンタシー系の作品が注目されたら嬉
しいところだ。それに回顧上映があったら、『狼の血族』は
もう一度観てみたい。

07月04日(日)
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