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On the Production
by 井口健二
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■●REC2、アフロサムライ、ジェイン・オースティン、ロフト、ヴィクトリア女王、よなよなペンギン、ジャック・メスリーヌ+他
すでにジョニー・デップ作品の情報を得ていた者としては、
その題名の符合にびっくりしていた。
ただし、映画にも出てくるカナダで最も堅牢とされる刑務所
からの鮮やかな脱獄劇や、そこに舞い戻って仲間を助けよう
としたなどの逸話から、メスリーヌには実際にジョン・デリ
ンジャーの再来としての「Public Enemy No.1」の呼称が与
えられたようで、こちらも偽りではないものなのだ。
それにしても、映画に描かれた脱獄劇や人の盲点を突く手口
は、うまく行き過ぎてフランス人特有の大法螺かという邪推
もしたが、この映画に描かれていることに関しては、全て実
話そのものの再現とされているものだ。
因に映画の巻頭には、「映画にはフィクションが混じる」と
のテロップが掲げられるが、物語はそれとは裏腹にほぼ実話
に則したもの。ただテロップの後半で、「男の人生の全てを
描くことはできない」とあるのはその通りかも知れないが、
それでも本作では前後編の246分を掛けて男の人生を見事に
描き切っている。
共演は『スイミング・プール』などのリュディヴィーヌ・サ
ニエと、フランス映画界の重鎮ジェラール・ドパルデュー。
他に『アラトリステ』のエレナ・アナヤ、『ぼくセザール』
のセシル・ド・フランス、『潜水服は蝶の夢を見る』のマチ
ュー・アルマリック、『ナルコ』のジル・ルルーシュ、カナ
ダ映画の『ロケット』で2005年東京国際映画祭男優賞を受賞
したロイ・デュピュイらが登場する。
映画は、Part 1の冒頭と、Part 2の冒頭と最後で1979年11月
2日のメスリーヌと警察の様子が描かれ、それは見事な緊張
感を描き出す。そしてそれらに挟まれた全体の物語は、あま
りに鮮やかで戯画的ですらあるが、1人の男の生き様を見事
に描き出しているものだ。
        *         *
 今回のニュースは映像の報告を1つ。
 7月26日付でも15分の特別映像を紹介したローランド・エ
メリッヒ監督作品“2012”で、今回はさらに53分の前半映像
が公開された。
 物語などについては前の報告を観ていただきたいが、今回
公開された前半53分(カリフォルニアの消滅)までの映像で
も、特別映像とほとんど変わらないくらいのペースで災害の
VFXがつるべ打ちされていたものだ。そしてその上映の後
で、監督と脚本家、それに主演2人による舞台挨拶とミニ記
者会見も行われた。
 その会見は、質問者も仕込まれていたもので僕は直接質問
することはできなかったが、中で後半の展開についての質問
があり、それに対する監督の答えでは、「今回上映されたの
は前半となっているけれど、実はこれはまだ3分の1でしか
なく、この後に3分の2残っている。この映画は大変長いも
のです」という発言があった。
 つまり今回の53分の3倍、159分が全体の上映時間という
ことになるようだ。そして今回はその後半の抜粋映像も上映
されたが、それも災害映像の満載で、これは正にデザスター
映画の集大成のような作品になりそうだ。しかもそこからの
生き残りが描かれるようで、全編の上映がさらに楽しみにな
ってきた。
 なお災害発生の切っ掛けは、ニュートリノが活性化して地
球の核を過熱させてしまうというもの。これが物理的に正し
いかどうかも検証したいものだ。

10月04日(日)
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