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On the Production
by 井口健二
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■ブラック会社…限界、谷中暮色、海角七号、スペル、バカは2回海を渡る、きみがぼくを見つけた日、倫敦から来た男、戦慄迷宮(追記)+他
本作については前々回にも紹介したが、今回はちょっと違う
条件で改めて鑑賞したのでその報告をしたい。
実は前々回の試写は内覧とのことで、会場は五反田イマジカ
の第2試写室。そこは日本有数の3D試写室と言える場所で
はあるのだが、その日の上映はスクリーンが妙に小さくマス
クされていて、それは窓から覗き込むようで、奥行きを主眼
とする作品のコンセプトには合っているものの、やはり迫力
には掛ける感じがした。
そに対して今回は、完成披露試写ということで、会場は新宿
バルト9の2番スクリーンという比較的大きなスクリーンの
全面に上映されたもの。しかも僕の座席は前から2列目の中
央で、正に視野一杯の3D映像を鑑賞することができた。
その効果は、特に前々回も指摘した螺旋階段のシーンなどで
も奥行きがくっきりと描かれている感じで、その迫力は見事
なものだった。ただし、これは以前『センター・オブ・ジ・
アース』の監督も言っていたことだが、3Dというのは繰り
返されるとその効果が薄れるもので、その影響が今回は肝心
の最後の螺旋階段のシーンに出てしまっている。
つまり、その最後の螺旋階段のシーンでは、早送りにされて
いることもあって3D感が著しく減じられているような気が
する。本来ならここでは、それまでの螺旋階段のシーンより
一層の奥行きが出て欲しかったし、そこで「おお」と言わせ
るような映像があれば、作品の印象も変わってきたと思うの
だが、作品の狙いは判るだけに残念な感じがした。
奥行きを強調するためには、例えばカメラの間隔(視差)を
大きくするなどの方法がある筈だが、今回はそのような試み
はしなかったのだろうか、前回も書いたように続編があるの
なら、ぜひそのような試みもして欲しいものだ。
* *
最後にニュースを1つ。
今年も10月17日から25日まで開催される東京国際映画祭の
記者会見が行われ、その概要が発表された。
それによると、今年のコンペティションには世界81の国と
地域から743本の作品が応募され、その中から選ばれた15本
によってグランプリが競われる。その作品の傾向は、紹介文
によると昨年驚嘆した『超強台風』のような作品はなく、ど
ちらかというと現実に沿った作品が選ばれたようだ。ただし
その中で、スペイン=コロムビア製作の『激情』という作品
には興味を引かれている。
これに対して特別招待作品では、すでに紹介している『カ
ールじいさんの空飛ぶ家』がクロージングを務める他、『脳
内ニューヨーク』『大洗にも星はふるなり』『風が強く吹い
ている』『スペル』『わたし出すわ』『PUSH』などが上映さ
れる。また、ジェームズ・キャメロン監督の新作“AVATER”
のフッテージ上映もあるようだ。
さらにアジアの風など他の部門には50本以上の未公開作品
の上映が予定されている。その中では『愛している、成都』
『カンフー・サイボーグ』『青い館』『つむじ風食堂の夜』
『OUR BRIEF ETERNITY』がSF/ファンタシー系の作品のよ
うで、これらを中心に出来るだけ数多く鑑賞して紹介するこ
とにしたい。
09月20日(日)
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