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On the Production
by 井口健二
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■白夜、ファイナル・デッドサーキット、カールじいさんの空飛ぶ家、戦慄迷宮、アンヴィル、陸軍中野学校、スワップ・スワップ+他
には入場料35$を支払った既婚や未婚のカップルが集まり、
互いにパートナーを交換して自由なセックスを楽しんでいた
のだ。
そのクラブを創設したのはラリー・レヴィンスン。食品店の
息子だったその男は自らの発想でその店を開き、やがて一般
人からセレブまでもが同じレヴェルで集まる話題のクラブへ
と発展させて行く。そしてマスコミにも取り上げられ、全米
各地へチェーン店も展開させて行くが…
そんな時代の寵児だった男の実像が、当時の従業員や常連客
だった人々の証言によって描き出される。そこには『ゲット
・スマート』の脚本家として知られるバック・ヘンリーや、
俳優で映画作家のメルヴィン・ヴァン・ピーブルスなども登
場するものだ。
また、レヴィンスン自身が当時放送されたトーク番組に出演
して丁々発止のやりとりを繰り広げる姿や当時のニューズフ
ィルム、さらにはクラブの中で撮影された写真、フィルムな
ども織り込まれる。
監督は、いずれも本作が処女作のジョン・ハートとマシュー
・カウフマン。ただしこの種の作品では編集の力がものを言
うものだが、その編集には、1996年のドキュメンタリータッ
チの劇映画『I SHOT ANDY WARHOL』なども手掛けたキース・
リーマーが当っている。
なお、映画の中でクラブの反響を示す映像として日本語で書
かれた雑誌が登場している。そこで今回はDVDでの鑑賞だ
ったので、その部分を巻き戻してみたのだが、雑誌の誌名は
多分Swingerだと思うが確認は出来なかった。
しかし、一部が写された記事を読むと現地での取材はしてい
るようで、出来たらその記事を書いた記者の話なども聞きた
くなったところだ。
結局、フリーセックスの時代はエイズの到来によって終焉し
てしまうものだが、そんな歴史の徒花のような時代を見事に
写し出した作品と言えそうだ。それにしても1977年と言えば
『SW』の公開の年、本作が描いているのはそんな時代の物
語だったようだ。
* *
最後にニュースを1つだけ。
ディズニーがマーヴェルを総額40億ドルで買収することが
発表されている。これによりディズニーは、『スパイダーマ
ン』や『アイアンマン』『X−メン』など5000体以上とも言
われるキャラクターを獲得することになるものだが、すでに
シリーズ映画化されている作品の配給権は動かないとは思う
ものの、これによる映画界への影響には計り知れないものが
ありそうだ。
因にディズニーでは、以前から女の子向けのブランドとし
ては強力なものの、男の子向けの商品ではかなり苦戦が強い
られていたとのことで、このため先にドリームワークスとの
提携にも踏み切っていたが、今回の買収でさらにそのブラン
ドを強力にできるとのことだ。
それにしても、映画の配給契約だけでなく一気に本社の買
収とは…。この動静は少し慎重に観て行くことにしたい。
09月06日(日)
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