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On the Production
by 井口健二
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■PUSH、男と女の不都合な真実、アンを探して、副王家の一族、携帯彼氏、脳内ニューヨーク+製作ニュース
ていたときに挙がってきたものだそうで、その際の共同製作
だったレジェンダリー・ピクチャーズが話をワーナーに持ち
込み、両社が権利の獲得に動いて実現の運びとなったという
ことだ。ブアマン監督の映画化はかなり重厚だった記憶があ
るが、シンガー監督がそれをどのように料理するか、製作開
始までにはまだ少し時間は掛かりそうだが楽しみな作品にな
りそうだ。
 因にシンガーとワーナー+レジェンダリーでは、2006年の
“Superman Returns”の興行成績が少し期待に届かなかった
とされているものだが、今回の計画には当時のワーナーの首
脳だったポリー・コーエンが製作者として名を連ねており、
シンガーへの期待値はまだまだ高いようだ。
 なおシンガー監督の予定では、前回紹介した“Battlestar
Galactica”や“X-Men: First Class”などの計画も発表さ
れているが、実は上記の“Jack the Giant Killer”が次回
作としては最有力とのことで、今年1月15日付第175回では
J・D・カルーソ監督の計画として紹介した童話「ジャック
と豆の木」の大人版と称する作品が次に観られることになり
そうだ。
        *         *
 もう1本は、1981年公開、ピーター・ハイアムズ監督、シ
ョーン・コネリー主演の“Outland”が、2007年“Shoot'Em
Up”などのマイクル・デイヴィス監督でリメイクされること
になった。
 オリジナルは、西部劇の『真昼の決闘』を木星の衛星イオ
を舞台に再話したとされるものだが、荒くれものが集まるチ
タン鉱石の採掘場やそこに併設された酒場、さらにそこには
娼婦がいるなどの描写が、SFファンには多少首を傾げたく
なる作品ではあった。しかし、最後に映る木星には微かに輪
が描かれているなど、最新の科学情報も取り込まれていたも
ので、その製作者の姿勢には納得したものだった。
 その物語がリメイクされるものだが、今回はその脚本を、
昨年12月1日付の第172回で紹介した“The Day Before”の
チャド・セントジョンが担当するとのことで、この脚本家は
以前紹介の時にも一緒に西部劇に企画が挙がっていたから、
SF+西部劇の本作にこれは適任かも知れない。
 そして監督のデイヴィスは、2008年4月に前作『シューテ
ム・アップ』を紹介したときにもほとんど手放しの高評価を
したが、この監督の作品には本当に期待したいものだ。
 なお、オリジナルの公開当時に僕は小松左京監督の『さよ
ならジュピター』に関っていて、最後に木星の輪を観たとき
には「ああ、先を越された」と思ったものだ。そしてその頃
に、製作者のアラン・ラッドJr.が『ジュピター』の脚本を
買いに来たという話を聞いて凄いとも思ったものだが、今に
して思うと、それは“Outland”の製作中だったラッドJr.が
その補強用に脚本を欲しがったということはありそうで、そ
の映画製作の貪欲さも理解したところだ。
 今回のリメイクにもそんな貪欲さを見せてもらいたいもの
だ。

08月23日(日)
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