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On the Production
by 井口健二
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■フィースト3、ココ・シャネル、呪怨、ARTISANAL LIFE、未来の食卓、バッド・バイオロジー、ラスト・ブラッド(追記)+製作ニュース
オリジナルの製作は2000年9月に6カ月の準備期間を経て
開始されたものだが、その僅か6日後にロケ地近くの川の増
水でセットが流失したり、ドン・キホーテを演じていたフラ
ンス人俳優のジャン・ロシュホールが以前から患っていた背
中の痛みが悪化するなどのアクシデントに見舞われて中断。
結局、保険会社との話し合いで製作中止が決定された。
その後は、キホーテ役にクリストファー・リーが立候補す
るなど、直ちに再開の気運もあったのだが、映画化の権利=
ギリアムが執筆した脚本を一時は保険会社側が管理するなど
の障害が立ちはだかり、簡単には再開できなかった。
その再開に、2006年4月14日付で紹介したギリアム監督作
品『ローズ・イン・タイドランド』などを手掛けたイギリス
の製作者ジェレミー・トーマスが乗り出したもので、すでに
映画化権の買い戻しにも成功しているとのことだ。そして、
ギリアムと共にオリジナルを手掛けたトニー・グリゾーニが
脚本を改訂する作業にも取り掛かっていると伝えられた。
なおこの件に付いてギリアムは、「僕は、自分がアイデア
に固執するタイプではないと思っていたが、このアイデアは
自分で映画を作るまで僕を放してくれそうになかった。現在
はこれを完成させることに全力を注いでいる」と語っている
ようだ。
またギリアムは、現代から17世紀に飛ばされて従者のサン
チョ・パンサにされてしまう配役に、オリジナルにも出演し
ていたジョニー・デップとの話し合いを行っていることも認
めているが、現在最も忙しい俳優の1人とも言われるデップ
のスケジュールを調整するのも大変なことになりそうだ。
因にデップは、5月22日にカンヌ映画祭で行われるギリア
ム監督の新作“The Imaginarium of Doctor Parnassus”の
ワールドプレミアに、共演のコリン・ファレル、ジュード・
ロウらと共に出席する予定なので、その席で正式の回答が出
されるかも知れない。
キホーテ役には、一時はギリアムとは『モンティ・パイソ
ン』時代からの盟友マイクル・ペイリンの名前も挙がってい
たが現在は未定。しかし撮影は、ギリアムの意向では来春に
は開始したいとのことだ。
* *
もう1本は、『ターミネーター』の公開が迫っている製作
会社ハルシオンの計画で、2007年10月15日付第145回でも報
告したようにフィリップ・K・ディックの権利を獲得した同
社が、その権利に基づく最初の作品として“Flow My Tears,
the Policeman Said”(邦訳題:流れよ我が涙、と警官は言
った)を映画化すると発表した。
この原作は、1974年に発表されて翌年のローカス賞やジョ
ン・W・キャンベル記念賞などを受賞した作品だが、1968年
に発表された『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と並
んでディックの絶頂期の作品と言われているようだ。内容は
2度目の内戦によって警察国家となったアンチユートピアの
アメリカを背景にしたもので、その世界での有名人から突然
無名の人間にされてしまった男の行動が描かれる。
スタッフ・キャストや製作時期は未定だが、『ターミネー
ター』の次の作品ということにはなりそうだ。
05月17日(日)
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