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On the Production
by 井口健二
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■Blood、マン・オン・ワイヤー、色即ぜねれいしょん、真夏の夜の夢、精神、BASURA、トランスポーター3
ジェイスン・ステイサム演じるプロの運び屋フランク・マー
ティンが、2006年3月に紹介した第2作以来の復活をした第
3作。前作の紹介でも続きはありそうだと書いたが、その通
りの作品が2年振りに登場した。
しかも本作は、第2作がアメリカを舞台にしたちょっと小振
りの作品だったのに対して、ヨーロッパに舞台を戻し、正に
第1作の勢いを上回る大アクションの展開となっている。そ
してその舞台はヨーロッパ全土に拡大されているのだ。
物語の発端では、前作に続いて主人公は危険な稼業を引退し
たことになっている。しかしある経緯から現場に復帰。そし
て今回の荷物は、大きな防水の袋2つと車に同乗している若
い女。しかも彼女と主人公の手首には、車から約20m離れる
と爆発する装置が付けられていた。
この状況下で主人公は、携帯電話での指示に従いフランスか
らハンガリー、ドイツ、ルーマニア、そしてウクライナへと
車を進めて行くことになる。そしてその間に、コリー・ユン
振り付けの華麗なカンフーアクションと、思わず拍手したく
なるカーアクションが展開されるものだ。
しかもその背景には、ヨーロッパ国家間の環境保護条約締結
を巡って、危険な産業廃棄物の投棄を画策する政府間の陰謀
まであるという大スケールの物語が展開される。
共演は、テレビの『プリズン・ブレイク』が評判のロバート
・ネッパーと、本作でデビューを飾ったナターリャ・ルダコ
ワ。他にシリーズ共演者のフランソワ・ベルレアンもフラン
ス人刑事の役で再登場する。
因にルダコワは、ニューヨークで街を歩いているところをリ
ュック・ベッソン発見され、演技のレッスンから学んで本作
に起用されたとのこと。ちょっと『ジャンヌ・ダルク』の頃
のミラ・ジョヴォヴィッチに似た雰囲気もあり、彼の新ミュ
ーズとなりそうだ。
それにしても、主人公が車から離れられない設定の許、見事
なカーアクションが展開されるもので、そこには思わずニヤ
リとする部分まで絶妙の緩急で物語が進行されていた。この
手の設定は結構ボロが出やすいものだが、その点の神経は行
き届いていたようだ。
監督は、2003年8月に紹介した『レッド・サイレン』などの
オリヴィエ・メガトン。前作も高く評価したつもりだが、本
作でもそのアクション演出の切れ味は変っていなかった。た
だしロマンスシーンでは、実はベッソン自身が演出を担当し
ているそうで、新ミューズへの思い入れはかなり強そうだ。

04月26日(日)
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