ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460281hit]

■大阪ハムレット、ハイスクール・ミュージカル、ハルフウェイ、サーチャーズ、花婿は18歳、プライド、長江にいきる、NIGHT☆KING
ったが、独りっ子政策で3人目以降を堕胎しているという現
実にも戦慄した。映画では流産の話と堕胎の話が分けられて
いるが、人工流産のための薬剤を使用している可能性は高そ
うだ。
そんな中国政府の行っている国民を人間と思っていないよう
な政策の横暴さ、共産主義ならもっとお互いが協力するはず
なのに、そんなことはお題目だけになっている現実が見事に
描き出される。特に、役人たちが上からの命令を振りかざす
だけのまるで茶番劇の住民集会の様子などが如実にそれを物
語っていた。
ただし、この作品には未だ結末がない、最後にはテロップで
多少の現状が紹介されるが、それだけではないはずだ。この
先何年もかかるのかも知れないが、本作の主人公の女性を最
後まで追った作品を観たいものだ。

『NIGHT☆KING』
『女帝』『夜王』などで知られる倉科遼原作漫画『破天荒』
の映画化。東京新宿歌舞伎町のホストクラブ「愛本店」など
の経営者愛田武氏をモデルとした風俗映画。
ベッド会社ではトップセールスマンになるも女性問題で首。
そんな無類の女好きと自称する男がホストとして成功するま
でを描く。
主人公は地方出身者で、東京でベッドのセールスマンをして
いるが、なかなか成績は上がらない。しかしある日のこと、
声を掛けた女性にベッドでのテクニックを実演してみせたこ
とから次々契約が取れ始める。
ところがその問題が表面化して…。その後は友人のアパート
に転がり込み、そこで薄幸の女性と巡り会う。さらに叔父の
口利きでホストクラブに勤めることになった主人公は、彼女
の伝でダンスのレッスンなどにも励むのだが…
まあ、基本的にサクセスストーリーだし、現実はもっとドロ
ドロしたものだろうとは思うが、そんな成り上がりの主人公
を、最近ちょっと注目している『鎧サムライゾンビ』などの
いしだ壱成がコミカルに気持ち良く演じてみせる。
そこには男同士の友情や、やくざの任侠みたいなものもあっ
て、まあ直接の関りは持ちたくない世界だが、お話としては
それなりに辻褄も合っていたし、背景となる昭和43年には僕
自身にもいろいろな思い出もあるので、それなりに楽しんで
観ることは出来た。
昭和43年の時代考証では、赤やピンクの公衆電話など、それ
なりに細かいところにも気を使われていたようだ。それ以上
のファッションなどについては、僕には不明だが…
共演は、吉井怜、佐野大樹、千原せいじ、津田寛治。他に、
はなわ、愛染恭子、風間トオルらが顔を出している。監督は
藤原健一。因に吉井は、以前の主演作を批判的に紹介したこ
とがあるが、今回はなかなか良い演技を見せていた。
なお、製作のGPミュージアム・ソフトは、任侠物のDVD
直販などを中心にした製作会社のようが、どの作品もそれな
りの出演者は揃えているようだ。また劇場公開向けの作品も
以前から手掛けており、その中では本作と同じ藤原監督の前
作も面白そうで、これからも期待したいところだ。

11月23日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る