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On the Production
by 井口健二
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■寝取られ男のラブ♂バカンス、旭山動物園物語、赤い糸、アライブ、ヘブンズ・ドア、女バス、空へ、チェ28歳の革命/39歳別れの手紙
演。監督は『戦国自衛隊1549』の手塚昌明が担当した。
『チェ28歳の革命』“Che Part1: The Argentine”
『チェ39歳別れの手紙』“Che Part2: Guerrilla”
オスカー俳優ベニチオ・デル=トロの製作・主演で、彼にオ
スカーをもたらしたスティーヴン・ソダーバーグ監督による
革命家チェ・ゲバラの伝記映画。
今年のカンヌ映画祭でのワールドプレミアでは2本連続上映
され、今回の完成披露試写も同様のスタイルで行われたもの
だが、2作品はそれぞれシネマスコープとヴィスタサイズで
あるなど上映のフォーマットも異なり、基本的には独立した
作品となっている。
しかも監督は、第1作では複数の時間軸を交互に観せる展開
を採っているのに対し、第2作では時系列を保持するなど、
演出のスタイルも変化させている。
その第1作は、1956〜59年のキューバ革命の様子と、1964年
の国連での演説を中心とした活動が相互に描かれ、ゲバラの
人となりが描き出されて行く。そしてこの物語は、後に妻と
なるアレイダ・マルチとの出会いや、サンタ・クララでの勝
利など希望に満ちたものだ。
それに対して第2作は、1966〜67年のボリビアでの活動が描
かれる。ここでのゲリラ戦の結末は歴史が教えるようにゲバ
ラの敗北に終わるものであり、正直に言ってかなり重苦しい
ものとなる。
因に、当初企画を立てたデル=トロは、一般にあまり知られ
ていないボリビアでの戦いのみを描く計画だったそうだが、
それだけではゲバラの苦しみは描き切れないと判断、そのた
め第1作の構想が加えられたとのことだ。
それは確かに、ゲバラの苦しみを際立たせることにはなった
が、2作品を連続して観ると、それが際立ちすぎるようにも
感じられる。それは、今の世界情勢を考えると一層辛くも感
じられるところだ。
やはりこの2作品は、それぞれを独立して観る方が正しいよ
うに思える。そして勝利に酔いたいだけなら第1作だけでや
めた方が良い。でも物事を真剣に考えたいのなら、第2作ま
で観るべきだ。今の世界情勢はゲバラが改革しようとした当
時と全く変わっていないのだから。
共演は、『300』などのロドリゴ・サントス、テレビ『ヒ
ーローズ』などのサンティアゴ・カブレラ、『ボーン』シリ
ーズなどのフランカ・ポンテ、『コレラの時代の愛』などの
カタリーナ・サンディノ・モレノ、『インランド・エンパイ
ア』などのジュリア・オーモンド。それに、ルー・ダイアモ
ンド・フィリップス。
なお脚本は、『ジュラシック・パーク3』『エラゴン』など
のピーター・バックマンが担当した。
11月16日(日)
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