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On the Production
by 井口健二
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■シリアの花嫁、蘇る玉虫厨子、アンダーカヴァー、鎧−サムライゾンビ−、その男ヴァン・ダム、ミーアキャット、無ケーカクの命中男、斬
スリー・マン、ジェイ・バルチェル、ジョナ・ヒル、マーテ
ィン・スターらが共演。
製作、脚本、監督は、2005年“The 40 Year Old Virgin”で
全米大ヒットを飛ばしたジャド・アプトウ。因に、主人公の
姉役を演じたマンは監督夫人で、その2人の娘役は監督の実
の娘たちだそうだ。
『斬〜KILL〜』
夏に公開された『スカイ・クロラ』などの押井守総監修によ
るチャンバラ=剣戟をテーマにしたオムニバス作品。押井監
督を始め、深作健太、辻本貴則、田原実による4作品が集め
られている。
チャンバラは、今や『マトリクス』や『ブレイド』シリーズ
などで海外の作品でも定番のアクションとなっている。その
チャンバラを4人の俊英監督の手で描き出そうという試みの
ようなのだが…僕には何かピントの合っていない作品群に観
えた。
まず第1に、チャンバラ=剣戟がテーマと言いながら、それ
がまともに描かれているのは辻本監督の1作のみ。田原監督
作品は訳の判らない銃撃戦だし、押井監督の作品は居合い切
りで、それに深作作品はただの子供のチャンバラごっこ…
チャンバラでは、華麗な殺陣が観たいものだし、あるいは様
式美に則った所作なども美しいものだ。しかし田原、押井の
作品では、ほとんど刃を合わせることもしないのだから、こ
れではチャンバラを描いたと言えるのかどうか。
かと言って、チャンバラ以外の何を描いているかと言うとそ
れもないのだから…嫌な作品ではないだけに、これは全く困
った作品になってしまった。押井監督が総監修のオムニバス
では、『真・女立喰師列伝』はそれなりに評価したつもりだ
ったが、今回は何かが少し狂ってしまったようだ。
なお出演者では、辻本作品に特別出演した水野美紀が同監督
の『バーボンのミキ』『ハード・リベンジ、MILLY』と同様
頑張っている他、押井作品では、菊池凛子、藤田陽子が登場
している。
ただしこの押井作品では、本当なら彼女達が演じる天使が飛
び立ってからの空中戦を描いて欲しかったもので、そうすれ
ばガンダムを向こうに回す押井版の空中チャンバラが描けた
と思うのだが、そこまでをやる気はなかったということなの
だろうか。
それにしても、辻本+水野のコンビは3本連続当たりの感じ
で、ここらで1本しっかりした本格長編を撮ってもらいたい
ものだ。
11月09日(日)
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