ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460266hit]
■禅、その木戸を通って、彼女の名はサビーヌ、破片のきらめき、ターミネーター:サラ・コナー(続き)、特命係長・只野仁
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『禅』
『火火』『丘を超えて』などの高橋伴明監督の最新作。駒澤
大学総長大谷哲夫氏の原作・製作総指揮の許、日本曹洞宗の
開祖・道元の生涯を描いた歴史絵巻。
道元は内大臣の嫡流に生まれたものの、8歳にして母親を亡
くし、現世に浄土を創るという禅の道を目指す。そして24歳
で宋に渡り、道を極めて28歳で帰国。京の建仁寺にて禅宗の
布教を始めるが、比叡山の反発に遭い山科に移る。
さらに六波羅蜜寺に説法したことから比叡山の圧力が増大、
山科は焼き討ちに遭うなどして越前に逃れ、永平寺を開山。
その後は鎌倉に赴いて北条時頼に教えを授けるなど、54歳で
入滅するまでの生涯が描かれる。
永平寺は、観光で2度ほど行ったことがあるが、山奥の静謐
な雰囲気や、そこに聞こえてくる声明のすばらしさなどは、
禅寺に来たという思いをいやがうえにも感じさせてくれると
ころだ。
そんな永平寺を開いた道元に関しては、僕は前に井上ひさし
作『道元の冒険』の戯曲本を読んだくらいで、その内容もほ
とんど覚えていないものだった。ただ、元々道元という人が
世俗を離れて禅の道一筋とされているから、それも仕方のな
い話のようだ。
しかしこの作品では、宋での行脚(高僧とされる人に会って
幻滅したり、老典座の言葉で開眼したりする)のエピソード
や、叡山僧兵による焼き討ちのアクション、さらに北条時頼
を襲う幻覚などの見せ場を設けて、2時間あまりの物語を楽
しませてくれる。
そもそもの高橋監督がこの作品に関ったきっかけは判らない
が、原作・製作総指揮を手掛けた人物を考えると、それなり
の背景はあるのかも知れない。しかしプレス資料でも、現代
の世相を憂いてこの映画が製作されたという経緯は理解でき
るものだ。
因に、試写会前の監督による舞台挨拶で、「いつもは映画に
毒を盛ろうと考えているが、今回は薬になる映画を作ってし
まったようだ」と、少し照れ気味に話していたのが印象的だ
った。
出演は、中村勘太郎、内田有紀、藤原竜也。他に、哀川翔、
高橋恵子らが共演している。
『その木戸を通って』
山本周五郎原作、市川崑監督により、1993年に製作された日
本初(ということは多分世界初)の長編ハイビジョンドラマ
作品。
オリジナルは1125−60方式のアナログハイビジョンVTRに
よって録画されたもので、今回はそれがビスタサイズのフィ
ルムに変換されて上映される。
因に、この作品は1993年に1度だけBS−hiで放送された
ことがあるが、それが再放送されたことはなく、一方、同年
のヴェネチア映画祭と翌年のロッテルダム映画祭にフィルム
変換されたものが上映されているが、以後は映画祭などでの
上映の記録もなかったようだ。
その作品が今回は、今年2月に亡くなった市川監督への追悼
の意味も込めて東京国際映画祭で特別上映が行われ、さらに
11月8日からの一般公開も実施されることになった。
従って、市川監督には唯一の未公開作品の公開となるものだ
が、監督は生前からこの作品の劇場公開を強く希望していた
そうで、それが追悼という形での実現となったことは、諸般
の事情があったとは言え、少し残念なことではあるものだ。
物語は、江戸時代の地方の大名に仕える武士の話。その娘の
婚礼の日、主人公は17年前に彼の前に現れ、1人娘を残した
まま姿を消した妻のことを考える。
その頃の主人公は江戸勤めを終え、仕える大名の重役の娘と
の婚約も進んでいたが、ある日、彼の住まいに記憶を失った
女が現れる。そして最初は、婚約の邪魔になると追い出しを
図る主人公だったが、やがて情が移ってゆく。
しかし、それは女の記憶が戻るまでのことだったのかも知れ
ない。ただし主人公の前では女の記憶は戻ることはなく、娘
[5]続きを読む
11月02日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る