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On the Production
by 井口健二
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■第170回
の効果が大幅に損なわれることは確認できたもので、できる
ことなら視野がスクリーンで一杯になるIMaxでの実現は大い
に期待したいものだ。なお“The Hobbit”第1作の公開は、
2011年12月に予定されている。
 それからデル=トロ監督の記者会見では、監督の普段の生
活の様子が語られたが、自分だけのために家族も入れない家
を別に持っているのだそうで、そこには本やDVDや秘密の
通路もあって、モンスターも住んでいるのだそうだ。そんな
中で日々映画の構想を練っているが、基本的に仕事大好き人
間なので全く苦痛を感じたことはないとのこと。これからも
モンスター一筋で仕事を続けると意志表明をしていた。
        *         *
 続けて最後に記者会見の報告だが、実は映画の情報とは直
接は関係ない。しかしちょっと気になったことがあるので書
いておくことにしたい。
 来年1月16日に日本公開されるドキュメンタリー作品『ザ
・ムーン』のプロモーションとして、登場人物の1人でもあ
るアポロ11号の着陸船パイロット=バズ・オルドリン博士が
来日し、台場の科学未来館で記者会見が行われた。博士は登
場人物であって映画の関係者ではないから、映画についての
発言はなかったが、途中で地球温暖化に関する質問が出て、
博士が予想以上に強い調子で否定論を展開したのに驚いた。
 その発言の要旨は、「地球は有史以前から何度も温暖化と
寒冷化を繰り返しており、温暖化が人間のせいばかりとは言
い切れない」というもので、この理論自体は知られているも
のだから問題はなかったが、ここで博士は「大学や研究機関
は、研究資金集めのために物事を大袈裟に言うことがある。
『何も起きないけど、お金を下さい』とは言い難いから」と
まで言い放ったのだ。
 僕自身は博士の理論も理解するし、結論として「パニック
になるようなものではない」とする意見にも賛成だが、しか
し資金集め云々と言うのは言い過ぎのような気がした。ただ
これにはちょっと伏線があるようで、実は博士は前置きとし
て「前のインタヴューでも訊かれたが…」と発言していた。
つまり博士は、直前に別室で行われた個別のインタヴユーで
も同様のことを訊かれて、同じ質問の繰り返しに多少苛立ち
もあったようにも感じられたし、発言を繰り返す内に、博士
自身が考える以上に言葉が強くなってしまったことは考えら
れるところだ。
 でもこの種の発言は、得てして一部が独り歩きしがちなも
のだし、その現場の雰囲気を覚えておくためにもここに書き
留めておくことにするものだ。話題は映画の話ではないけれ
ど、その辺をお汲み取りいただきたい。
 なおこの記者会見では、終了後のフォトセッションが、科
学未来館ご自慢のジオ・コスモスの前で行われた。このジオ
・コスモスは巨大な球体状のディスプレイで、普段はその瞬
間の地球の表面が表示されているものだ。しかしこの日は、
NASA提供による月の表面の映像が表示され、それは月の
裏側も表示されているというものだった。そしてオルドリン
博士は、その周囲を巡る回廊から登場するという演出で、つ
まり月の裏側を回って我々の前に現れることになっていた。
 ところがその回廊に博士が到着しても表示は地球のまま、
結局、博士は地球の周りを回っての登場となってしまった。
まあ、この種の演出は手違いの生じることが多いものだが、
せっかく40年ぶりに月の裏側を観た感想を聞くという千載一
遇のチャンスを逃すことになってしまい、非常に残念な気持
ちがしたものだ。
        *         *
 前回の記事に続報関係の追加を記載してあります。興味の
ある方は再度ご覧下さい。

11月01日(土)
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