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On the Production
by 井口健二
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■第169回
しれない。
 公表された新作の物語は、北アメリカの沖合に浮かぶ孤島
を舞台にしたもので、そこの住人の一部にもゾンビ化の現象
が現れ、島のリーダーは彼らを抹殺するか、回復の期待を持
つかの選択に迫られるというもの。今までのゾンビシリーズ
とは、また少し違った局面での物語となりそうだ。
 因にロメロ自身は、常々死者への敬意を払うことの重要性
を述べており、最近のリメイク作品が必ずしもそうはなって
いないことへの不満もありそうだが、そんな状況でのこのス
トーリー展開は興味を引かれるものだ。
 撮影はすでにカナダのオンタリオで10月上旬に開始されて
おり、海外配給は『ダイアリー…』と同じくヴォルテージ・
ピクチャーズが担当している。
        *         *
 ロメロの関連で、1973年公開“The Crazies”のリメイク
が、オーヴァーチュア・フィルムスの製作配給で進められる
ことになった。
 この計画に関しては、2004年6月1日付第64回などで紹介
したが、その時はパラマウントで進められていた計画が変更
になったようだ。しかし、その当時にも関っていた脚本家の
スコット・コーサーとロメロの製作総指揮は継続されている
ようで、さらに2005年『サハラ』のブレック・アイズナーの
監督起用も発表されて、来年早期の撮影が計画されている。
 オリジナルの物語は、ペンシルヴェニアの小さな町が突然
軍隊によって封鎖され、その封鎖された町の住民たちの行動
を描いたもの。ロメロ監督によるかなりリアルでドライな演
出が印象に残っている作品だが、リメイクでは舞台をカンザ
スに移して、現代化した物語が描かれることになるようだ。
 因に監督に起用の決まったアイスナーは、『サハラ』では
いろいろトラブルに見舞われたが、現在は“Creature from
the Black Lagoon”のリメイクと、“Flash Gordon”のリメ
イクにも関っており、気になる監督というところだ。
        *         *
 もう1本、ワーナーが16世紀に成立したとされるイギリス
の民話“Tom Thum”(親指トム)を『魔法にかけられて』の
ケヴィン・リマ監督で製作すると発表した。
 この物語に関しては、1958年のジョージ・パル監督による
MGM作品“tom thum”(主人公に合わせて全て小文字で表
記される)があり、ワーナーではそのリメイク権も所有して
いるものだが、今回は敢えてそのリメイクとは言わず、新た
なテントポール作品として進めるとしているもので、その脚
本を、『プライベート・ライアン』などのロバート・ロダッ
トが執筆することも発表されている。
 物語は、不遜な騎士だった男が身長6インチに縮められ、
それでも姫を保護する任務に着くうちに、本当の英雄である
ことの意味に気付いて行くというもの。この物語を『プライ
ベート…』の脚本家なら面白くなりそうだ。
 なお、リマ監督とワーナーでは、この他にも、1700年代を
舞台に10代の少年がエクソシストを目指して訓練を積むとい
う“Spook's Apprentice”と題された作品も進めているよう
だ。
        *         *
 最後に、4月15日付の第157回で紹介した“The Matarese
Circle”の映画化に、デイヴィッド・クロネンバーグ監督が
交渉されていると報告された。
 MGMが争奪戦の上権利を獲得したロバート・ラドラムの
原作は、冷戦時代を背景にアメリカとソ連のスパイが協力し
て事件を解決するという異色の作品で、すでにデンゼル・ワ
シントンが主演することも発表されているものだが、そこに
クローネンバーグ監督の起用は、これもかなり意外性のある
ものだ。期待したい。
 なおMGMでは、この他にも“RoboCop”シリーズの再開
をダーレン・アロノフスキー監督に任せるという計画も進め
ているそうだ。

10月15日(水)
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