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On the Production
by 井口健二
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■第167回
から半減しているそうだが、“The Hobbit”などの大作もあ
り、順調に進んでいるようだ。
        *         *
 続けてニューラインシネマは、リチャード・ドイッチ原作
のタイム・トラヴェル小説“The Thirteenth Hour”の映画
化権を獲得したことを発表した。
 物語は、妻を殺された上に、その容疑者とされた男が、妻
を救い自らの容疑も晴らすために1時間だけ時間を遡るとい
うもののようだ。ただし物語の解説には、『ボーン・アイデ
ンティティー』の題名も挙がっていて、ということは主人公
は…になるのだろうか。
 因に原作者のドイッチは、日本ではデビュー作の『天国へ
の鍵』(The Thieves of Heaven)という作品が翻訳されて
いるだけのようだが、この作品がベストセラーになって映画
化も進められている。そして、今回は未発表の原稿に対して
映画化権が設定され、元ニューラインの総師だったベテラン
製作者のマイクル・デルッカが陣頭指揮で映画化を進めると
いうことだ。
 なおデルッカは、退職以来8年ぶりにニューラインに戻っ
ての仕事となるものだが、「自身がタイムトラヴェルしてい
るような感じでは?」という質問に対して、「ここは快適な
居場所だ。作品は元々自分の得意としていた分野だし」とし
て張り切っているようだ。
        *         *
 次はイギリス映画で、2003年に結婚したポール・ベタニー
とジェニファー・コネリーの俳優夫妻が、映画の中でも夫婦
役で共演する計画が発表されている。
 作品は“Creation”と題されたもので、内容は『進化論』
を発表したチャールズ・ダーウィンとその妻エマを描いてい
る。ただし、その一部は幽霊もので、一部は心理スリラー、
そして一部はラヴストーリーとされているものだ。物語は、
夫妻が共に若い頃のお話で、子供を失ったことからの救済な
どが描かれるとされている。そこに幽霊ものというのは…
 脚本は、ベタニーが出演した2003年『マスター・アンド・
コマンダー』などのジョン・コーリーが、ダーウィンの子孫
のランダル・キーンズの発表した“Annie's Box”と題され
た評伝に基づいて執筆。監督は、2003年『ザ・コア』などの
ジョン・アミエルが担当する。撮影は、9月28日からロンド
ン郊外にある実際のダーウィンの住家などを用いて行われ、
公開は来年ダーウィンの生誕200年を記念して行われる予定
とのことだ。
        *         *
 最後はちょっと異色な脚本家の登場で、ワーナーは、イン
ディーズのロックバンドstellastarr*のリードヴォーカル=
ショーン・クリステンセンが執筆した“Karma Coalition”
と題されたSF映画の脚本を、6桁後半から実現時には7桁
($)の契約金で獲得したことを発表した。
 内容は、妻殺しの嫌疑を掛けられて逃亡者となった主人公
が、世界が終る前に妻の死に隠された真実を探り出そうとす
る…というもの。世界が終ってしまうのなら、そんなことを
探り出しても意味がないようにも思えるが、その妻の死が世
界の終りに関っているのだろうか?
 因にクリステンセンは、彼のバンドがニューヨークのスタ
ジオで彼らの3rdアルバムを制作している間にこの脚本を書
き上げたのだそうだ。ロックアーチストにはSFファンが多
いという話は聞いたことがあるが、それにしても脚本家とし
ては新人の作品に6桁後半の契約金はかなり破格と言えるも
のだ。もちろん内容は検討された上での契約だから、それだ
けの作品ということではあるのだろう。
 なお映画の製作は、以前紹介した“Justice League”や、
ガイ・リッチー監督の“Sherlock Holms”なども手掛けるダ
ン・リンが担当しており、ワーナーでは最優先で製作する計
画になっているそうだ。

09月15日(月)
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