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On the Production
by 井口健二
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■第165回
感覚の物語だ。新ボンドや『ダーク・ナイト』のようなダー
クなヒーロー世界に観客を連れて行く」として、一連の物語
を3本の映画に仕上げる計画としているものだ。
 出演者はこれから選考されるが、製作費には1500万ドルが
計上されて、10月15日からリオ・デジャネイロの郊外での撮
影開始が予定されている。またこの映画化に並行してグラフ
ィックノヴェルの刊行も計画されており、脚本家たちはその
物語の執筆も行うことになるようだ。
        *         *
 突然飛び込んできたニュースで、当初は今年11月21日に予
定されていた“Harry Potter and the Half-Blood Prince”
の公開が、来年7月17日に延期されると発表された。
 この作品に関しては11月17日にロンドンで、イギリス王室
も迎えたワールド・プレミアの開催も発表されていたものだ
が、ワーナー側の発表では、「作品にとってのより良い公開
時期として2009年夏を選択した」とのことだ。つまり、製作
が遅れたというような事情ではなく、純粋に興行的な問題と
しての延期のようで、来年7月の公開ではほぼ全世界一斉の
封切りを行うとしている。
 因に、『ハリー・ポッター』シリーズでは、前作の2007年
『不死鳥の騎士団』も7月公開で、全世界9億3800万ドルの
興行成績を挙げているそうだ。
 なお、来年の7月には、同日17日にウィル・フェレル主演
“Land of the Lost”、前週10日にはローランド・エメリッ
ヒ監督の“2012”、さらに前々週にはジョニー・デップ主演
“Public Enemies”と“Ice Age: Dawn of the Dinosaurs”
が並んでいるものだが、実は脚本家ストライキの影響で充分
な大作が揃えられていないという状況もあり、そんな中での
映画興行を支える究極の判断という見方もあるようだ。
 それから、2部作での公開が発表されている『ハリー・ポ
ッター』の最終話“Harry Potter and Deathly Hallows”に
関しては、2010年秋と2011年夏の公開予定に変更は無いよう
だ。
        *         *
 最後に、これはちょっと嫌な話なので、読みたくない人は
読まないで欲しいが、先日のVariety Japanのウェブサイト
に載ったミシェル・ゴンドリー来日記者会見の記事の中で、
監督が、東京とニューヨークの違いについての質問に怒った
との報道がされていた。実はこれは僕の質問に対してのこと
なので、ここにその顛末を記録しておく。
 この質問で、僕が実施に訊きたかったのは「ニューヨーク
が舞台の原作を東京を舞台に映画化するに当って変更したと
ころがあるか」というものだった。ところが、通訳を通じて
僕の真意が伝わらなかったようで、記事にされた事態になっ
てしまったものだ。
 そこで、僕は再度質問の意図を説明して、監督からは「ヒ
ロインが狭い路地を抜けるシーンなどがニューヨークとは違
う」という答えを得ている。そして会見後には、監督から直
接「誤解して済まなかった」という言葉と一緒に、プレスブ
ックにサインまでして貰ったものだ。
 同様のことは、以前にティム・バートンの記者会見の時に
も質問と答えがちぐはぐになり、以前の会見で僕がしたマニ
アックな質問に嬉しそうに答えてくれたバートンが、このと
きは怪訝な顔で僕を見ていたものだが、通訳を介した質問と
いうのは難しいと改めて思ったものだ。
 因にこの2回の通訳は同じ人だと思うが、この人は『ブラ
インドネス』の舞台挨拶の時も、フェルナンド・メイレレス
監督が“My First Japanese Movie”、つまり「自分の最初
の日本映画」と言っているのに、「初めての日本に関係した
映画」と訳しており、ちょっと疑問に感じたものだ。
 ちょっと嫌な話だったが、事実を報告しておく。

08月15日(金)
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