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On the Production
by 井口健二
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■胡蝶の夢、オンリーピック、フレフレ少女、ゲット・スマート、フェルメールを探して、三本木農業高校馬術部、ハルク、攻殻機動隊
したアクションシーンなどが見事に描かれ、特にアクション
コミックスの映画化としては、充分に機能した作品になって
いる。
監督は、フランスでリュック・ベッソン製作・脚本の『トラ
ンスポーター』シリーズや、ジェット・リー、モーガン・フ
リーマン共演の『ダニー・ザ・ドッグ』などを手掛けてきた
ルイ・レテリエ。脚本は、『X−MEN2』などのザック・
ペンが手掛けている。
なお、本作のエピローグにはちょっとした仕掛けがあるが、
この仕掛けが、実はアメリカでは先に公開された『アイアン
マン』と繋がっていて、そちらも見ると納得できるようにな
っている。日本ではこれら公開順が逆になっているのがちょ
っと残念だ。

『攻殻機動隊2.0』
1995年に公開の押井守監督によるアニメーションが、CGI
シーンの追加など全編リニューアルして再公開されることに
なった。
オリジナルは、1999年のウォシャウスキー兄弟作品『マトリ
ックス』に多大な影響を与えた作品として有名だが、1995年
の日本公開は興行成績も上がらず僕も見逃していた。しかし
今回その映像を見ていると、確かに『マトリックス』への影
響の大きさを確認できる。
その他にも、2006年公開『スキャナー・ダークリー』の映像
なども、ほとんどそのまま流用されている感じで、その映像
の目新しさは、オリジナルの公開から10年以上たった今でも
充分に通用するものだ。
物語は、士郎正宗のコミックスからの映画化だが、高度に情
報化された未来の日本を舞台に、サイボーグ化された主人公
たちが、情報操作によるコンピュータ犯罪やサイバーテロに
立ち向かって行くというもの。
そこに「人形使い」と呼ばれるサイバーテロリストが現れ、
それを現実とサイバー空間の両面から追い詰めて行く様子が
描かれる。そしてそこには、捜査陣内での確執なども描かれ
ている。
それにしても、今の社会状況の中でこの作品を見ていると、
かなり現実が近付いてきているという感じもするもので、こ
れを12年も前に見せられても、観客が戸惑うくらいのものだ
ったとも言える。
それくらいに先進的な内容を、さらに先進的な映像で描いて
いるものだが、しかもそれが12年経ってもほとんど色褪せて
いないというのは、この急速な時代の流れの中では驚異とも
言えるくらいのものだ。
また今回のリニューアルに際しては、台詞、音楽、SEなど
の音響も再収録、リミックスされ、特に川井憲次の音楽が大
編成で再録音されているのも聞き物になっている。
公開は、押井監督の新作『スカイ・クロラ』の公開に先駆け
全国5大都市(東京、札幌、名古屋、大阪、福岡)のみで行
われるものだが、できたらその後にでも全国に巡業してもら
いたいものだ。

07月06日(日)
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