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On the Production
by 井口健二
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■第157回
のロカルノ映画祭でグランプリを獲得したハンガリー人監督
ベネディク・フリーガウフによる初の英語作品で、未来を舞
台にした“Womb”という作品を進めている。この作品は、遺
伝子技術によって人の死が克服された世界を描いているとい
うもの。詳しい内容は不明だが、製作資金にはEUのメディ
ア支援プログラムや、ハンガリーの映画基金などの援助も受
けて、近日中にベルリンと北海沿岸で撮影が開始されること
になっている。
『エリザベス』の2部作を完成させたシャカール・カプー
ル監督が、フィリップ・リーヴ原作“Larklight”の映画化
を進めることが発表された。原作本は既に翻訳もあるようだ
が、今回の報道に添えられた物語の概要によると、舞台背景
はヴィクトリア王朝時代を思わせる世界。しかも人類は、ア
イザック・ニュートンの時代から宇宙進出が始めているとい
う、そんな設定の中で物語の主人公は兄妹。その兄妹が宇宙
海賊と組んで、狂人の手から世界を救う冒険が描かれるそう
だ。製作は『ラッキー・ユー』などのデ・ノヴィ・ピクチャ
ーズ、配給はワーナーで、製作費には2億ドルが計上されて
いるとのことだ。
“Last Blood”と題されたコミックスの映画化が、『バタ
フライ・エフェクト』などのベンダースピンクスで計画され
ている。物語は、ゾンビによって支配された終末世界を背景
に、人類最後の生き残りたちを保護するヴァンパイアの集団
を描いているもので、かなり捻った作品になりそうだ。因に
コミックスの原案は、ボビー&クリス・クロスビーという兄
弟によるものだが、実は、彼らは1997年にネット上に出版社
を設立。そして2006年末から“Last Blood”の連載を開始。
その後に4巻本にまとめられて昨年出版されたとのことだ。
なお、ベンダースピンクスでは、第153回で紹介した“Y:
The Last Man”をニューライン(ワーナー)進めている他、
“Power and Glory”“The Ghouly Boys”“Area 52”“Pet
Robots”などのコミックスの映画化をハリウッド各社と共同
で進めているそうだ。
1997年『キューブ』で衝撃をもたらしたヴェンチェンゾ・
ナタリ監督が、エイドリアン・ブロディ、サラ・ポーリーの
共演で“Splice”と題されたSF作品を撮影完了している。
物語は、DNA操作で新しい生物を生み出そうとした男女の
科学者を描いたものということで、H・G・ウェルズの『モ
ロー博士の島』以来、この手の作品もSFの分野としては大
切なものだ。なお本作の製作総指揮はギレルモ・デル=トロ
が担当しており、アメリカ配給は2009年に予定されている。
* *
最後に、4月3日付のアメリカの芸能紙に、サングラスの
人気ブランドRay-Banが、3D映画用の個人所有の眼鏡を発
売するという記事が紹介された。記事によると、3D技術開
発会社のKerner Opticalというところと共同でデザイン化さ
れた眼鏡を開発し、年内にも発売すると言うのだが…実は、
この記事には非常に疑問を感じている。
実際問題として、現在3D映画で実用化されている方式は
少なくとも3種類あり、それぞれ偏向レンズの形式も異なっ
ている。従ってそれらを統一して使える眼鏡は存在しないは
ずで、それをどうやって1個の眼鏡にするのか疑問なのだ。
確かに将来的に方式が統一されれば、かっこよくデザイン
化された眼鏡を持ち歩くのも面白いかも知れない。ただしそ
の場合でも、本来サングラスとしては使用できない3D眼鏡
をサングラスブランドが発売して良いものかどうか、問題は
山積している感じがする。
年内に本当に発売されたら、参りましたと言う他ないが、
その時には一体どのような技術が使われるのか、興味津々と
いうところだ。
04月15日(火)
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