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On the Production
by 井口健二
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■光州5・18、僕の彼女はサイボーグ、パリ恋人たちの2日間、●REC、ミラクル7号、おいしいコーヒーの真実、歩いても歩いても
が楽だったが、全体的には、成功者の父親と不況に喘ぐ子供
世代という、現代の日本の其処比処にある家族の標本ような
一家の姿が描かれている。
そして、そのような家族の物語の中で、悪気はないのかも知
れないがふと口を突いて出る辛辣な言葉や、漏らされる本音
が家族の辿った歴史をも明らかにして行く。
なお試写会では舞台挨拶が行われて、主演の阿部寛は、「自
分の中で物語の解釈の整理が着いていない」と語っていた。
確かに、観る人によって如何様にも取れる作品ではありそう
だ。しかし僕には、家族を見つめる監督の視線は明確であっ
たように思えた。
一方、父親役の原田芳雄は、撮影中は和気藹藹でしたと語る
他の出演者の中で、ただ1人「針の筵のようでした」と語っ
ていたのが、映画を観ると実にその通りで、これは納得もで
きて面白いところだった。
この他の出演者は、母親役に樹木希林、次男の妻役に夏川結
衣、妹役にYOU、その夫役に高橋和也など。
なお題名は、映画に出てくるある事柄に由来するが、その由
来を解釈すると、この物語はどんなことに晒されても家庭を
守り抜く決意のようなものを感じさせる。それは、『誰も知
らない』にも共通するテーマのようにも思えた。
僕が是枝作品を観るのは、多分本作で4本目だと思うが、フ
ァンタシーの『ワンダフルライフ』は別格として、その他の
作品の中では1番好きな作品と言える。『誰も…』が名作で
あることは間違いないが、僕には本作の方が好ましい作品の
ように感じられた。
03月16日(日)
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