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On the Production
by 井口健二
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■ハンティング・パーティ、受験のシンデレラ、なつかしの庭、丘を越えて、ブレス、ブラックサイト、ゼア・ウィル・ビー…、紀元前1万年
無言の誓いを立てたニーチェ信奉者の兄を演じていたポール
・ダノが好演している。
また主人公の息子役には、地元のオーディションで選ばれた
素人の少年が扮しているが、これも名演技を見せてくれる。
脚本・監督は、1997年の『ブギーナイツ』でアカデミー賞の
3部門にノミネートされ、99年『マグノリア』ではベルリン
金熊賞を受賞、さらに2002年の『パンチドランク・ラブ』で
カンヌ映画祭監督賞を受賞したポール・トーマス・アンダー
スン。
本作はカンヌ受賞以来の5年ぶりの復帰作となるものだが、
受賞が伊達ではないことを証明する素晴らしい作品だ。
『紀元前1万年』“10,000 B.C.”
『インディペンデンス・デイ』などのローランド・エメリッ
ヒ監督が描く紀元前の世界。マンモスの跋扈する時代に、英
語を喋る原始人が活躍する。監督自身が、「この映画で歴史
のレクチャーをするつもりはない」と明言している作品で、
自由奔放な内容の物語が展開する。
主人公の暮らす一族には、「青い目の少女と勇者が一族を新
たな世界に導く」という言い伝えがあった。そして、主人公
が幼い頃、1人の青い目の少女が現れる。一方、主人公の父
親は勇者の印の白い槍を持つものだったが、ある日突然一族
を捨てて出奔してしまう。
やがて時が流れ、主人公と少女は互いを見詰めあって成長す
るが、主人公は村人には部族を捨てた男の息子として疎まれ
ている。そして主人公にも自覚はなかった。ところが、彼が
1人でマンモスを倒した日、村が馬に載った一団に襲われ、
少女を含む村人たちが連れ去られる。
その難を逃れた主人公たちは、村人を奪還するため一団の後
を追って行くことになるが、それは彼らを伝説の白い山の彼
方へと導いてゆく。
予告編でも出ているので今更ではあるが、その山の向こうに
は比較的高い文明が存在している。実は紀元前1万年という
のは、アトランティス大陸が沈んだとされる時代でもあり、
そんなことも背景に物語が進むものだ。
それどころかもっとニヤリの設定も展開されるが、残念なこ
とに、それが映像では明確に提示されない。披露試写を南山
宏さんと一緒に観たが、試写後には「どうせやるなら、最後
にどーんと出して欲しかったね」と言う話になった。
出演は、スーパーヒーローコメディ『スカイ・ハイ』に出て
いたスティーヴン・ストレイトと、『ストレンジャー・コー
ル』のカミーラ・ベル。
なお、10,000 B.C.に続くエメリッヒ監督の次回作は、未来
に飛んで、2012 A.D.となるようだ。
03月02日(日)
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