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On the Production
by 井口健二
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■プライスレス、スルース、ジェシー・ジェームズ…、いつか眠りにつく前に、つぐない、ぼくたちと駐在さんの700日戦争、フランチェスコ
間は150分とされているが、当時のVariety紙のレビューでは
155分となっているもので、これはカンヌ映画祭で上映され
た記録に基づくようだ。恐らく今回の日本公開は、このカン
ヌ・ヴァージョンで公開されるものだ。
フランチェスコは、アッシジの織物商人の家に生まれ、青年
期は裕福な家庭で放蕩生活を送っていた。ところがあるとき
騎士になることを思い立ち、向かった戦場で捕虜となってし
まう。そして、その捕虜生活の間に病気に罹るなど苦労をし
たことから宗教に目覚める。
そしてハンセン氏病患者への奉仕や、荒れ果てた聖堂の修復
などの活動を行い、その間に彼の行動に賛同する弟子が集ま
り始める。そして福音書の記述を厳格に守り、財産を全て放
棄するなどの戒律のもと各地を放浪して説教を続ける。
その教義は他の宗教家たちの反感も買うが、当時のローマ教
皇の承認を得て修道会を開き教義を広めて行く。因にフラン
チェスコ(フランシスコ)修道会は、分派も含めると現在最
大規模の修道会と言われ、マザー・テレサもこの修道会の所
属だったというものだ。
そのフランチェスコの生涯を描いた作品だが、最初は高価な
織物などを女性に勧める商人の息子だった若者が、やがて宗
教活動家になって行く姿は、周囲の状況などから納得できる
部分も多く、なるほどと思わせる物語だった。
そしてこのフランチェスコ役を、ボクサーになる直前のミッ
キー・ロークが演じ、何となく彼自身の迷いというかいろい
ろな思いも伝わってくるような感じになっている。
また、フランチェスコを愛し、彼の後に随って行くキアラの
役を、当時23歳のヘレナ・ボナム・カーターが演じていて、
若いというより幼い感じもする少女の役を巧みに演じている
のも注目されるところだ。
なお、今回の公開版では全員イタリア語の台詞になっていた
が、ロークの口元はよく判らないものの、ボナム・カーター
の口元はどうやら英語を喋っていたようだ。因に巻末のクレ
ジットでは、la vociとしてフランチェスコとキアラの役名
に声優の名前も記載されていたものだ。
2時間37分はかなりの長丁場だが、観ている間は飽きさせる
こともなく、満足の行く作品だった。

最後に、今年は僕のベスト8本を掲載します。なお、対象は
今年公開の作品で、SF/ファンタシー映画には日本映画を
含めました。
☆SF/ファンタシー映画   ☆一般映画
@ パンズ・ラビリンス    @ リトルチルドレン
A デジャヴ         A ゾディアック
B 墨攻           B 4分間のピアニスト
C プレステージ       C あなたになら言える…
D きみにしか聞こえない   D 迷子の警察音楽隊
E ソウ4          E オフサイドガールズ
F アイ・アム・レジェンド  F こわれゆく世界の中で
G チャーリーとパパの飛行機 G シッコ

12月30日(日)
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