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On the Production
by 井口健二
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■第149回
るようだ。確かに人々を想像の世界に導くというのはギリア
ム自身が監督としてやっていることにも似ている。なお脚本
は、『ブラジル』と1989年の『バロン』にも協力したチャー
ルズ・マッケオンとの共同で執筆された。
 また撮影は、ロンドン周辺のバタシー発電所、タワー・ブ
リッジ、セントポール寺院などで行った後、カナダに移動し
て監督自身の指揮の許、VFXの作業などが進められること
になっている。そして製作費は総額3000万ドル。これは2億
5000万ドルと言われる『ライラの冒険』の10分の1程度の金
額だが、ギリアムにとっては「これで充分、これ以上あって
もコントロールができなくなるだけだ」とのことだ。
 一方、俳優に関しては、今回はヒース・レッジャーと2度
目のコラボレーションとなっているものだが、「お金で俳優
を呼ぶことはない。キーになるのは、レッジャーやジョニー
・デップのような俳優と組めるかどうかだ。もっと著名な俳
優が金額の点で組みたくないと言うのなら、そんな俳優を使
うつもりはない」と明言していた。
 そんなギリアム監督には、実は先に行われた作家へのアン
ケートで、『ライラの冒険』の原作者フィリップ・プルマン
や『ハリー・ポッター』のJ・K・ローリングからも、自作
がもう一度映画化されるなら担当してもらいたい監督のNo.1
に選ばれているとのことで、彼への信頼は本当に高いものに
なっているようだ。
 新作は撮影が開始されたばかりで、完成にはまだ少し時間
が掛かりそうだが、ギリアムの自伝的な作品は、早くこの目
で観てみたいものだ。
        *         *
 2005年3月1日付の第82回で紹介したアレックス・プロイ
アス監督“Knowing”の映画化にニコラス・ケイジの主演が
発表された。
 この作品は、以前に紹介したように、作家のライアン・ピ
アソンが執筆したオリジナル脚本を映画化するもので、ケイ
ジが演じるのは、自分の小学生の息子が通う学校で発見され
たタイムカプセルを検証することになった教師の役。そのカ
プセルの中には、地球の未来を決める恐ろしいものが入って
いた…というお話になるようだ。
 そして脚本は、『ブギーマン』のスタイルズ・ホワイトと
ジュリエット・スノーデンによるリライトの後、さらにプロ
イアスと、2003年にテレビ化された“Riverworld”の脚色な
どを手掛けたスチュアート・ヘイセルダインによる改訂が行
われて、3月17日からメルボルンで開始される撮影が準備さ
れている。
 製作はエスケイプ・アーチスツ。なお同社では、第144回
で紹介したトニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン、
ジョン・トラヴォルタの共演による“The Taking of Pelham
1.2.3.”と、第143回で紹介のジェイムズ・ラシター監督、
ウィル・スミス主演“Seven Pounds”と共に、本作の製作を
ストライキ前に進める計画になっているもので、先行2本の
配給はソニーに決まっているようだ。
        *         *
 最後に、ジェイムズ・ワンの監督で、日本の人気アニメを
実写映画化する“Dragonball”に関して、キャスティングが
進められている。
 それによると、まず悟空役には、『宇宙戦争』に出ていた
ジャスティン・チャトウィンが起用され、ピッコロはテレビ
の“Buffy the Vampire Slayer”などのジェイムズ・マース
ターズ、チチは韓国系のジェイミー・チャン、ヤムチャを韓
国ポップグループGODのパク・チュンヒョン、マイ(ピラ
フの手下?)を『ヒーローズ』に出ている日本人女優の田村
英里子が演じる。そしてブルマ役には、何と『オペラ座の怪
人』のエイミー・ロッサムの出演が決まったとのことだ。
 『少林サッカー』のチャウ・シンチーが製作を担当し、全
米公開は2008年8月15日に予定されている。

12月15日(土)
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