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On the Production
by 井口健二
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■未来予想図、ロンリーハート、僕のピアノコンチェルト、夜顔、僕がいない場所、めがね、インベージョン、Mayu
くが、患者が1人いるということは、他にもいる可能性は否
定できない。
そんな乳癌の危険性を、原作者は身を持って語っているもの
だ。そして、乳癌は早期に発見できれば完癒率は95%に近い
とのことで、その検診を勧める啓蒙活動であるピンクリボン
運動も登場する作品となっている。
とは言うものの、映画はかなりリアルでシビアな内容も描か
れ、実際に患者の人が見たらショックを受けるのではないか
と心配になるほどのものだ。でも、患者の人にはこのくらい
のことは常識の範囲なのだろうし、その分、啓蒙に繋がれば
作品は成功と言えるものだ。
主演は平山あや。去年は『バックダンサーズ』を見たが、そ
の時にも陰影のある役柄を丁寧に演じている印象を持った。
今回は患者であることや、癌と戦う勇気や、外部からの仕打
ちに対する弱さや、いろいろな側面があって、これもよく演
じていたと思える。
特に、検査のシーンではマンモグラフィーなども実施されて
おり、それを受けたことのある家内に言わせると尋常でない
痛みが伴うという検査も、実際に体験しているようだった。
その頑張りは賞賛したい。
共演は、両親役に浅田美代子と三浦友和。また同病の患者役
で京野ことみが味わいのある演技を見せていた。
ただし映画では、病院内で携帯電話を掛けるシーンが多々あ
り、僕の知っている都内の病院では、検査機器への影響など
の理由で、ほとんどが院内の携帯電話は使用禁止になってい
るものだが、北海道ではそれが許されているのだろうか、ち
ょっと気になった。
それから、患者が他の患者の手術跡に触れるというのは、冗
談にしても絶対にしてはいけないというか、できないことの
ように思えるが、その辺の演出も気になったところだ。
最近では、タレントの山田邦子がテレビ番組の知識で乳癌を
早期発見し、手術も成功したという話題もあったが、まだま
だ検診も充分に行われているとは言えない現状で、この映画
がその啓蒙の一助にでもなれば素晴らしいことだ。
09月10日(月)
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