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On the Production
by 井口健二
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■自虐の詩、ロケットマン、ローグ・アサシン、4分間のピアニスト、クワイエットルームにようこそ、さらばベルリン、幸せのレシピ、シッコ
は、国民皆保険の制度がなく、一方、医療保険が大手保険会
社に牛耳られ、会社がOKを出さない限りは、支払い拒否や
医療の打ち切りが横行する事態になっているとのことだ。
『ER』の原作とされるマイクル・クライトンの医療ノンフ
ィクション『5人のカルテ』の中で、担ぎ込まれた患者が病
名不明のまま大量の投薬で回復し、その医薬費が数千ドルに
上ったが、保険のお陰で数ドルで済んだというエピソードが
印象に残っている。
『5人…』が題材にしているのは、1960年代後半の話と思わ
れ、それを読んだ頃には「アメリカの保険制度はすごい」と
感心したものだったが、その後のアメリカの医療システムは
悪化の一途を辿ったようだ。
その信じられない個々の状況については映画で観てもらいた
いものだが、映画の製作に先立ってインターネットで医療保
険のトラブルの実例を募集したら、1週間で25,000通以上も
集まったというのだから、その根の深さが知れるものだ。他
に、手紙による内部告発もかなりの数があったとされる。
そもそも先進国では唯一国民皆保険の制度がないのが何故か
というと、それが社会主義に繋がるという理論だそうだが、
1992年にはヒラリー・クリントンが制度の導入を提唱したも
のの議会圧力で引き下がるなど、今もその亡霊は生きている
ようだ。

08月20日(月)
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