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On the Production
by 井口健二
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■第139回
展開に熱狂した」とのことだ。また、この物語でヴラドは、
「自らが統治する王国とその民を守るために悪魔に魂を売り
渡す」とされているとのことで、プロイアスは「そのキャラ
クターには恐怖より同情を感じた」とも語っている。
 ドラキュラの元祖ヴラドがトルコの侵略を打ち破って国を
守ったルーマニアの英雄であることは、最近ではかなり知ら
れるようになってきたが、それがハリウッドで映画化される
というのは画期的なことだ。ましてやユニヴァーサルで製作
されるということは、ドラキュラ=ヴラドの繋がりが定説化
されることにもなる。
 ドラキュラ伝説の関係では、第101回で紹介したソニーが
が進めている“The Historian”の計画が、やはりヴラドの
伝説に基づいており、また第99回で紹介したヴィデオゲーム
が原作の“Castlevania”の映画化の計画もまだ進行してい
るところで、その中での今回の計画は一石を投じることにも
なりそうだ。
 なお、サザマとシャープレスの脚本家コンビは、同じくユ
ニヴァーサルで進められている“Cobalt 60”というコミッ
クスの映画化にも関わっている。
 この作品は、1968年にヴォーン・ボーデという作家が発表
した単発のコミックスに基づくもので、ヴォーンは1975年に
亡くなったが、その後を息子のマークが引き継ぎ1980年代に
グラフィックノヴェルとして再刊されたようだ。物語は、コ
バルト60と名告る仮面のヒーローが、両親を殺害したストロ
ンチューム90への復讐を遂げるまでを描くということで、キ
ャラクターの名前は何かなあという感じもするが、映画化は
『300』のザック・スナイダー監督で進められている。
        *         *
 ケヴィン・スペイシーが『スーパーマン・リターンズ』の
続編について語っている。
 それによると、ブライアン・シンガー監督との間でレック
ス・ルーサー役を再演することについて話し合いがもたれた
のだそうで、監督の計画では、撮影は監督が“Valkyrie”と
“The Mayor of Castro Street”を完了した後の来年に開始
する。そして公開は2009年を目指すとのことだ。
 MGM=UAで進められている“Valkyrie”については、
ドイツでの撮影も認められることになったようで、後は全て
の計画が順調に進むことを祈るばかりだ。でも、スペイシー
が再登場するということは、ロイス・レーンの配役も変更な
しになりそうだ。
 なお、スペイシーの作品では、コメディの“Fred Claus”
が11月9日にワーナーから公開され、MITの教授を演じる
“21”がコロムビアから来年3月の公開予定となっている。
        *         *
 2004年版『フライト・オブ・フェニックス』や、2006年版
『オーメン』のリメイクなどを手掛けたジョン・モーア監督
が、アイルランド人の作家ジョン・コノリーが昨年発表した
ダーク・ファンタシー“The Book of Lost Thing”の映画化
権を獲得したことを公表した。
 物語は、12歳のイギリスの少年が、実母の死と父親の再婚
という境遇の中で、異世界への扉を開き、野獣と怪獣の棲む
世界に入り込む。そしてその世界で、少年は元の世界への帰
り道を探さなければならなくなる…というもの。少年にとっ
てはかなり試練の多い旅になりそうだが、本の題名には特別
な意味があるのだろうか。
 監督はそれなりに実績はある人だが、製作者ではない監督
が映画化権を獲得するというのは珍しい話で、それだけ気に
入ってるなら、ちょっと楽しみな計画になりそうだ。

07月15日(日)
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