ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■墨攻、棚の隅、Starfish Hotel、長州ファイブ、パリジュテーム、天国は待ってくれる、蒼き狼
部族の連中は、実子かどうか分からないテムジンが族長を継
ぐことを嫌い、彼の家族を残して移動してしまう。
このため残されたテムジンは少人数だけで、略奪や抗争の続
く中を、家族を守って生きて行かなけばならなくなる。とい
うことで、彼の心の中には、万人を別け隔てしない考えが目
覚め、その彼の考えに賛同する人々が彼の元に集まってくる
ようになる。
これがモンゴル帝国実現の根源だったようだが、実際にモン
ゴル帝国では、宗教や各民族の伝統もそれぞれに重んじられ
ていたと言うから、この時代に多宗教・多民族の国家が作ら
れていたというのは驚くべきことだ。
紀元12世紀のこの時代、ヨーロッパでは第3次第4次の十字
軍遠征が行われてキリスト教とイスラム教の対立が深まって
いた訳で、この対立が今も続いていることを考えると、テム
ジンの考えの偉大さは、一層強く感じられるところだ。
そんな雄大な物語が、今も残る現地モンゴルの大自然を背景
に描かれる。
とまあ、物語は良いのだが、普段から洋画を見慣れている者
の立場で観ると、日本人以外の人々を描いた作品に日本語の
台詞というのがどうも馴染めない。洋画でも吹き替えはある
からそういうものだと割り切れればいいのだが、「父上」と
か「御前に」とか言うような大仰な台詞が生で聞こえてくる
と、違和感を拭えなかった。
建国800年記念映画ということで、2万7000人のエキストラ
が動員され、1億円の経費が掛けられたという即位式のシー
ンなどは、現在のモンゴル映画界では実現できなかったもの
かも知れないが、出来ることなら全編に亘ってモンゴルの俳
優を使った撮影も平行して行って欲しかったものだ。
以前のハリウッド映画では、英語での撮影に並行して、同じ
セット、同じ衣装を使ったスペイン人俳優によるスペイン語
ヴァージョンが作られていたものだが、モンゴル国内向けに
それはしなかったのだろうか。あったらそれも見てみたいも
のだ。

12月28日(木)
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