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On the Production
by 井口健二
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■ミートボール・マシン、キャッチボール屋、グエムル、セプテンバー・テープ、ザ・フォッグ、鬘、ニキフォル、日本以外全部沈没
1974年開催の日本SF大会で、星雲賞日本長編部門の『日本
沈没』と並んで、日本短編部門を受賞した筒井康隆原作の映
画化。地球規模の地殻変動で日本列島以外の世界中の大陸が
沈没し、世界中の難民が日本に押し寄せた事態を描いたパニ
ックパロディ作品。
元々の筒井の原作は、クラブのカウンターでの会話形式で進
められるものだが、この映画化では世間の様子も描かれ、特
に外国人難民との関り合いのシーンなどは、もちろん戯画化
はされているが、現実にもありそうな感じに見事に描かれて
いる。また、ちやほやされるだけで無策の政治家が、突然強
行路線に走る場当たり的な政策転換の様子も如何にもありそ
うで、その意味では見事な風刺ドラマにもなっている。
因に、今年リメイクされた本家の映画化を僕は全く認めてい
ないが、中でも不満に感じるのは、映画の中で一般人の姿が
ほとんど描かれないことだ。それに対してこの作品では、そ
の点もちゃんと描いているのには感心した。
ミニチュアを用いた特撮シーンは見るからにチープだが、そ
れが逆に外国人ホームレスの段ボールハウスが焼かれるシー
ンでは、本火とCGの炎が組み合わされてなかなかの効果を
上げていた。その他にもいろいろなアイデアが駆使されてい
るという感じの作品だ。
正直に言って、僕はもっとぐちゃぐちゃな作品になることを
予想していたが、予想外にまともな風刺パロディになってい
る。その意味では、筒井ファンにはちょっと期待外れになる
かも知れないが、僕はこの作品でリメイク版で感じた溜飲が
下がる思いがした。
出演は、小橋賢児、柏原収史、松尾政寿。また、藤岡弘、、
村野武範という、過去の映画版及びテレビ版『日本沈没』で
主人公小野寺を演じた2人の俳優が顔を揃えているのも良く
やったというところだ。他に、中田博久、寺田農、黒田アー
サー、土肥美緒、松尾貴史、デーブ・スペクター、さらに筒
井康隆の特別出演もある。
監督は、『いかレスラー』や『コアラ課長』など一連のパロ
ディ作品が話題の河崎実。この起用には多少危惧もしたが、
実は、彼は学生時代には8mm映画のアマチュア特撮で注目を
集めていたということで、本作の特撮シーンのこだわりもそ
れで納得したところだ。できたら、本家の再リメイクをこの
監督でお願いしたいとも思ってしまった。
07月20日(木)
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