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On the Production
by 井口健二
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■マッチ・ポイント、DEATH NOTE、夜のピクニック、カーズ、キンキー・ブーツ、いちばんきれいな水、フラガール
が生まれる余地もない。でも、施設のオープンは7カ月後と
決まっていたのだ。
こんな状態から、教師やダンサーたちが情熱を沸き立たせ、
オープンの日を迎えるまでの紆余曲折が描かれる。
もちろん映画の物語はフィクションだし、現実はこんなにド
ラマティックではなかったのかもしれないが、そこは映画の
物語として、涙あり笑いありのお話が見事に綴られる。しか
もそれが苦境からの逆転物語としては、無理なく良い感じに
作られていた。
まあ、この手の話は題材が良ければ、大体のところは感動を
呼べるし、だからといって悪いものではない。それにこの作
品では、主演の松雪泰子を始め、蒼井優、山崎静代といった
面々が3カ月の特訓でフラをものにし、踊ってみせるという
バックステージ的な話題も提供されている。
そのフラは、完成披露試写会の舞台で実演もされたが、特に
松雪、蒼井には感心させられた。山崎の場合はご愛嬌もある
が、立場からすれば、これで上等だろう。それにしても蒼井
の表現力には、『ハチ・クロ』に続いて感心したものだ。
オリンピック後のバブルに向かって行く世間一般が好景気と
言われた状況の陰で、こんな苦労をしていた人たちもいた。
それは現代に似た部分もありはするが、かと言って、取り立
てて現代に通じるような社会問題を扱っている訳ではない。
ある意味、感動の押し売りでもあるこの種の作品は、人によ
っては迷惑なものかも知れないが、暗い映画館の中で単純に
感動を満喫する、そんな用途にはピッタリと言えるものだ。
ただし、お茶の間のテレビで家族と一緒に見るにはちょっと
恥ずかしいかも知れない。
僕にとっては、年代的に一番判っている時代でもあるし、そ
の目で見ているといくつかミスも見えてくるが、時代考証は
それなりに納得できた。特に長屋の並ぶ炭住街の風景は、銀
残しの色調と共に、時代を充分に味わえる作品でもあった。

06月14日(水)
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