ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■イエスタデイ・ワンスモア、ミリオンズ、コープスブライド、ビッグ・スィンドル、旅するジーンズと・・・、ビタースイート、探偵事務所5
永瀬正敏主演による『濱マイク』シリーズなど、現代劇の探
偵ものを数多く手掛けている林海象監督の集大成とも言える
作品。                        
舞台は川崎。数字の5をあしらった古風なエンブレムを掲げ
る探偵事務所があり、そこには5で始まる3桁の番号で呼ば
れる探偵たちが所属している。入り口には517番の女性がい
て、その背後には各人の現在の活動状況を示す巨大な掲示板
が設置されている。                  
物語は2部構成で、第1部は成宮寛貴扮する新人探偵591の
初仕事が描かれる。それは会長の孫と名告る宍戸瞳が依頼し
た案件で、彼女のタレント志望の親友の行方を探すというも
の。因に会長の500番は宍戸錠その人であり、ナレーション
も務めている。                    
調査を進めるうち、その陰に巨大整形外科クリニックの存在
が現れる。そこは内科医の男が創設したものの事故続きで、
その後アメリカ帰りの女医を看板に据えて繁盛し始めたとい
う。しかし、入退院の人数の不一致や犯罪者絡みの問題など
怪しい噂も尽きない。                 
そして、依頼者の宍戸瞳や先輩探偵たちの支援のもと、調査
は進んで行くが…                   
第2部は宮迫博之扮する浮気調査専門のベテラン探偵522の
物語。彼は探偵家業は生活のための手段とうそぶくような男
だったが、実は事務所の許可を受けて巨大整形外科クリニッ
クの調査も続けていた。                
そんな彼には、怪しげな秘密兵器を開発する町工場や、情報
屋兼鍵の専門家や、内偵などの多彩な協力者もいた。そこに
探偵591や宍戸瞳も加わって、遂にクリニックの息の根を止
める作戦が開始されるが…               
マンガチックというよりは、アニメチックに近い活劇調の探
偵物語。荒唐無稽な部分もいろいろあるけれど、それなりに
センスは良いし、特に第2部の人情味ある物語は、さすが大
ベテランの作品という感じだ。             
と言っても僕は、林作品は『ZIPANG』と『Cat’s
 Eye』ぐらいしか見ていないのだが…やたらと凝った設
定の探偵七つ道具や走り回るレトロな国産車などは、なるほ
どこれが海象ワールドなのだなと感じさせてくれた。   
多彩なゲストや友情出演もあるし、また主要な出演者では、
田中美里が偏執的な女医役を演じているが、どうやら彼女の
作品歴からは、主演作品が1本消されてしまったようだ。 
なお、このシリーズでは、『濱マイク』と同時期の2002年に
北村一輝主演の『探偵551』と、2003年にともさかりえ主
演の『黒の女』(探偵661)のいずれも短編2作が製作さ
れており、今後もウェブ公開向けに短編の連作が予定されて
いるようだ。どうせなら、このままテレビシリーズ化しても
行けるようにも思えたが。               

09月30日(金)
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